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印象採得時の材料による再現性の違い

2002年03月18日

義歯を製作する際には、まず印象採得操作を行います。

そしてその操作を、我々開業医は毎日のように行っていますが、そこで驚かされる事は、同じ患者さんの欠損部顎提を同じ様に印象採得をしても、石膏模型にしてみると、みな違う形をしている事です。

前回(ビバリーメール第21号・3/4配信)でお話したように、欠損部顎提は、負荷が加わると、その形を変えてしまう性質があるので、同じ様に加圧しているつもりでも、毎回その力加減が違う、印象採得をおこなう際に使用する印象材料の流動度も違う。よって、これらの微妙な相違で出来上がった印象面にも、その相違点が現れてくるのだと考えられます。

そうすると、なにが正確なのかを判別できないまま、診療のステップを進めていくことになり、結果的には、出発点の間違いを修正しないまま次のステップ進んでも、前のエラーを修正する事は出来ず、出来上がった義歯に関しては、かなり信頼度にかけると言っても過言ではないと思います。

そのために、最初のエラーを、出来ることなら最小限にとどめたいと、歯科医はみな思っています。

また、ちょっと視点を変えて考えてみると、義歯の粘膜調整材を使用して粘膜調整を行っている際に、患者さんから「これで十分食事が出来るし、かなり強い力で噛んでも、痛みを感じないので快適である。」などの意見を聞かされる事がよくあります。

極端な言い方になりますが、ストックトレーを用いてアルジネートで印象すると、ほとんど無圧で、顎提粘膜の印象をしている事になるので機能時のそれより大きくなり、個人トレーを用いて、ラバーベース印象材で加圧しながら印象採得すると、機能時のそれより少し小さくなる、

次に、硬化しない粘膜調整材が、機能時の義歯床内面で再現している動的印象面は、機能時のそれに近い状態であると考えていいのではないでしょうか。

そこで、ワンポイントでのアドバイスとしては、ティッシュコンディショナーで再現できる動的印象面を使用することで、かなり精度の高い機能印象面を、義歯床内面に装備させる事が出来ると思います。

新義歯を装着する際に、一週間程度ティシュコンディショナーを使用して、間接リライニングすることで、最初に生じたエラーを補正する事が出来るのではないでしょうか。