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待望の革新的審美歯冠修復材料“エプリコード”の新登場

2001年11月19日

※この原稿は、10/22付・友の会「Fax Box」の「総歯研 増原レポート」に掲載されたものです。
 
 
クラレが、最新の技術を結集して創製した、新しい前歯用歯冠修復材料「エプリコード」がいよいよ新登場することになった。

この「エプリコード」の名称は、Enhanced(高度化)、Properties(固有性)、Integrated (集大成)、Composite(複合物)の意味を統合した造語であり、臼歯用のハイブリッドセラミックス「エステニア」に対応する新製品である。

この「エプリコード」は、これまでの硬質レジンとは異質の特性をもち、ポーセレンに近い質感と透明感をもち、審美的に優れた表現ができる大きな特徴がある。しかも、物理的には表面の滑沢性と耐摩耗性を兼備しており、前歯用の硬質レジンとしてはまさに究極の特性を持っている。

なぜこのような好ましい性質をもつ新材料が得られたかといえば、超微粒子フィラーを含む4種類のフィラーを合理的に配合したことにある。これがキーポイントになっている。

ご承知のように、21世紀に展開すべき国家的革新技術の1つにナノテクノロジーというのがある。これは分子レベルの超微粒子の反応、集積により、未開発の新材料や新技術を開発することを目指すものである。

この「エプリコード」の成功はその方向への先駆的な考え方の成果の1つであると伝える。

次にこの「エプリコード」の活用により、臨床上にどんなメリット(長所)と特徴が得られるかを列挙してみる。

(1) 審美性と色調再現性に優れる。
「エプリコード」はポーセレンに近い質感と透明感があり、天然歯に近い優れた色調の表現が可能になった。超微粒子フィラーの効果により、VITAシェードと同じ色調に仕上げることが容易になったので、患者の満足感が得られ易くなった。

(2)研磨性と耐摩耗性の両立が可能になった。
超微粒子フィラーの配合により、仕上げ研磨時の表面滑沢性が非常に良くなり、審美性が格段に向上した。さらにレジンマトリックスに分散してある超微粒子フィラーの効果により、口腔内での耐摩耗性が著しく向上した。これは表面の滑沢性の 向上により擦傷性が低減した効果と、マトリックス自体が多量の超微粒子を含有して耐摩耗性になった効果が相乗的に現れたものと思われる。これは非常に重要な興味ある特徴である。

(3)技工操作が容易になり、作業能率が向上した。
従来の硬質レジンはベタツキがあったが、それが 減少し、しかも一度付形した後の形崩れが少なく、作業能率が非常に良くなった。これも超微粒子フィラーを大量に使用した効果であると思われる。

(4)補助色を充実して多様なキャラクタライズを可能にした。
エプリコードは保険収載材料であるが、オペーカスデンチンや5色のエフェクトを追加して色材を 充実し、自由診療の患者にも適用できるような高度な色調表現が可能になった。
 
 
日本の歯科医療は、今や高齢者の急増と審美歯科治療への関心の高まりによって、歯周病治療やインプラント治療が主流になる兆候がある。

これに対応するには、これまで以上に審美的な歯冠修復に注力して、患者の満足感を得ることが必要になる。「エプリコード」を活用して、その要望が満たされ、日本の歯科医療に対する国民の信頼が高まることを期待したい。