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生涯学習の時代(3)

2001年11月05日

医療技術の経験を積むには、トレーニングだけでは不十分である。
役に立つ知識を、要領良く集め、理解していくことが必要である。

EBM(Evidence Based Medicine)は、日本ではそれを良く理解していない大学教授などの「言葉だけの使用」が目立ち、本来の「医療情報を要領良く集め、応用していく」という基本的技能が伝えられずにいる。

臨床医療従事者は、常に様々な問題に直面している。問題を解決するには、その問題を上手に整理し、解決可能な疑問に整理していくことがポイントである。

私はかつて、接着の仕事をしていたので、講演やセミナーで何度か以下の質問を受けた。

「スーパーボンドとパナビアは どちらがいいのですか?」
「一番いい接着剤は何ですか?」

このタイプの質問は、どうとでも答えられるし、ほとんど実用を目的としていない。

「軽自動車とベンツではどちらがいいですか?」という疑問に似ている。
狭い路地を配達する酒屋さんはベンツで配達をしないだろうし、大切なお客さんの送迎には軽自動車よりはベンツである。

私が現実に直面するのは、下顎第二大臼歯遠心にある象牙質、および歯肉縁下まで進行した齲蝕を、防湿が可能か否かを考慮して、「何でどう修復するか?」であり、さらにその患者さんが、60歳で心筋梗塞の既往があり、「アスピリンを常用している。」 「歯周病が軽度にある。」「咀嚼可能部位が限られつつある。」「神経質な人である。」「開口が十分に出来ない。」など、次々と判断に影響するかもしれない事柄が判明し、それを総合的に考えて、情報を探し吟味する必要があるのである。

これらの作業は、個人で本を読んだり、講習会で一方的な話を聞いただけでは、良くわからないままである。

EBMの元祖 マクマスター大学では、少人数チュートリアル教育をEBM習得の手段としている。少人数で、盛んな議論を行いながら進めると、実に多くのものを得ることが出来る。

わが国では、聖路加病院、自治医大などが主宰して ワークショップ(WS)を運営している。自治医大地域医療学教室のサイトで その概要を知ることができる。

9月上旬には、厚生科学研究の一環として、初心者のためのEBMワークショップ(WS)が開催された。そのWSに参加した衛生士さんから、医師、歯科医師、薬剤師などとともに行ったチュートリアルの感想を聞くことができた。

「とても楽しかったです。また参加したい。」ということであった。

社会人の学習では、学ぶ楽しさが味わえなければ学習効果が上がらない。