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生涯学習の時代(1)

2001年07月02日

多くの若者が、「学生時代に習ったことは役にたたない」と言う。

中世以来、学問は実利を目指すものよりも、役にたたない教養育成を一段上のものとしてきた。実利を生む「知恵」は、学問として昇華する過程で「知識体系」となり、実利からは縁遠いものとなった。

今日、ビジネス界では、IT革命に伴って「知恵」と「知識」のインタラクティブな転換がはかられている。

ナレッジマネージメントと呼ばれる「知恵」と「知識」の相互管理は、我々の社会活動をより生産性の高いものへ導いてくれる考え方である。
実利を生む「知恵」は経験に深く根ざした「暗黙知」である。

これを一人の人間の内部で終わらせては、社会の進歩は難しい。「暗黙知」を、誰もが共通して理解できる言語単位に転換すると「形式知」となる。

形式知はデジタル信号で送り、加工することが容易になる。

かつての学問は、文字化された形式知をただ書籍として残すだけであった。
今日では形式知は、様々な処理によって多様な活用が可能になった。

しかし、学問が実利に結びつかなかったように、形式知は再度個人の内部で「暗黙知」へ転換する作業を加えないと、実益を生むものとはならない。

ナレッジマネージメントでの最大の課題は、多くの人が簡単に形式知を個々の暗黙知に転換する手法の開発にある。

パソコンが普及し、インターネットが広まっても、それが個人の生活を豊にするかどうかは、まだ解らない。

世のパソコン教室などでは、形式知を個々の暗黙知に転換する手法は教えてくれない。

おそらく、現代人が学び探さなくてはいけない課題は、この形式知を個々の暗黙知に転換する手法ではないだろうか?