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介護の現場から

2001年06月04日

子供も寝静まり、すっかりくつろいでいた20時30分頃に、電話が鳴りひびきました。

「カミサンの患者の急変かな? それとも誰か顎がはずれたかな?」
などと思いつつ受話器を取ると、夜勤婦長が、
「先生、入れ歯の洗浄剤を患者さんが食べちゃったんですけど、どうしましょうか?」
「患者さんの状態は?」
「全然何でもなさそうですけど...」
「なんていう洗浄剤を何個食べたの?」
「○○っていうのを....2個くらいだと思います。」
「そのままで大丈夫だと思うよ。寝かせてもいいけど、なるべく頭高くして、30分おきに3時間巡回してね。その後は通常看護でいいよ。」

痴呆症高齢者の場合、昔懐かしいソーダー菓子のような感覚で口の中で溶けるので、何個も食べてしまうことがあるようです。一度この感覚を覚えると何度も同じことを繰り返すので、同室の患者様の義歯洗浄剤はナースステーションで管理したり、さらには病棟全体のものを管理するというような、大変な事態となってしまうこともあります。

この事件後、各メーカーに、誤嚥時の対応についての問い合わせをして送られてきたデータや、文献などを検討し、病院の中に持ち込みできる(販売する)義歯洗浄剤は2種類のみとしました。この病院に勤務して、まだ間もない頃のエピソードですが、平均年齢85歳の高齢者が920人も入院している病院ですと、思いもよらないことが次々と起こるであろうことを、予感させた出来事でした。
-義歯洗浄剤誤飲時の処置-

・ 中性~弱アルカリの製品
 1~2個なら牛乳を飲ませるか、そのままで様子を見る。
・ 強アルカリの製品や大量誤飲の場合
 すぐに飲んだ洗浄剤の箱を持って医師の診察を受けましょう。

いずれにせよ、無理に吐かせることはしないでください。

 

●日本中毒情報センターHP
   http://www.j-poison-ic.or.jp/homepage.nsf

●大阪中毒110番(24時間・年中無休):情報料(1分間100円)+通話料
  0990-50-2499(ダイヤルQ2)
  06-6878-1232(医療機関専用有料電話:1件2,000円)