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スタッフのヤル気を高める法【5】院長はもっと「話し」をしよう

2011年12月05日

「経営者は聞き上手になれ」ということがよくいわれますが、本当でしょうか?
「従業員の声に耳を傾けろ」「現場の人の声を聞くことが一番!」などと、コンサルタントからいわれ、「何か言いたいことがあったら、何でもいってくれ」と、スタッフを集めてミーティングを開いたり…これで、逆にドツボにはまるトップも少なくありません。

ある大阪の優良企業の経営者が、こんな話しをしていました。
――コーチングを学びにセミナーに参加し、「聞くことの重要性」「相手の中に答えがある」を学び、「それを質問しながら引き出すのがトップの役目」といわれました。
素直な私は、すぐにこの教えに従い、とくに問題をかかえた2人の従業員に対して、1対1で話しをする機会を設けました。
そして「どうしたらいいと思う?」「どうなりたいのかなぁ?」と、習ったとおりに質問を投げかけていきました。
コーチングの教科書では、ここでスムーズに聞き出せることになっていたのですが、現実には違っていました。
答えに窮した従業員は、現場の不平・不満・愚痴を漏らし始めたのです。
精神がネガティブになっていたのでしょう。
出てくる言葉は、否定的なものばかりです。
それで、結果はどうなったか?最終的に私は、2人の社員を「うつ」で失うことになってしまったのです。

精神的にまいった状態で発する言葉とは、ネガティブな内容ばかりで、そのネガティブな言葉に、従業員自身が刺激されたようで、ますます精神的に落ち込んでしまったのです。
医者の診断を受けたところ「うつ」と診断され、2人は仕事を続けられず、自ら会社を去っていきました。
私はコーチングを曲解し、間違った実践をすることで大切な従業員2名を失ってしまいました。
今でも、悔やまれます。
私の何がいけなかったのでしょうか?――

この経営者は、何を間違ったのでしょうか?みなさんどう思われますか?実は、コーチングなど、「聞く」というスキルが使えるには大前提があるのです。
それは「相手の中に答えがある」ということです。
この精神的に落ち込んだ2人の従業員は、混乱していて、その「答え」を持っていなかったのです。
ですから、質問して、それを引き出そうとしたところ、逆に相手を苦しめてしまったという結果になったのです。

また、苦しんでいる相手に、何かを話させようとしたため、心の中にある不平・不満・愚痴などを発しさせてしまい、その言葉のエネルギーの影響を受け、ますます精神的に落ち込ませてしまったわけです。
コーチングなどで「聞く」スキルが有効なのは、相手が中堅以上であり、相手の中に答えがある場合のみです。
新人や精神的にまいっている人に対してこのスキルを使うと、その人を苦しめ、ダメージを与え、組織を崩壊しかねない危険性が生じます。

そこで、歯科医院の院長先生に私からおすすめするのは、「聞く」ではなく、スタッフに対して「たくさん話しかける」技術です。
スタッフに対して、「院長に対してどう思っていますか?」というアンケートをとったことがあります。
出た答えのなかで多かったのは「院長は何を考えているのかわからない。
もっと私たちに話してほしい。
考えていること、医院のビジョン、医院の診療方針などを、具体的に話してもらいたい」ということでした。

人は、こちらから自己開示し、こちらの考えを伝えると、安心してついてきてくれる存在なのです。
私の組織は全国に広がっていて、毎朝全員集まって朝礼をすることはできません。
そこで、私は「紙の上で朝礼」を行い、私の考えや激励を伝えるようにしてみました。
毎朝、私は1時間早起きして、従業員に伝えたいメッセージ、みんながモチベーションアップする、元気が出る、前向きな内容を中心にA4判の紙に書き、それを毎朝7時前に、従業員の自宅にファックスで送ったのです。
みんなはこのファックスを読んで、私の考えを知り、組織がどこに向かっているのかがわかり、勇気づけられ、励まされて、スタッフのみんなが1日のスタートを切るようになりました。
結果、ヤル気旺盛な活力のある組織になり、売上も20倍(5年で年商20億円)を達成できました。

私は紙の上で朝礼をしましたが、歯科医院の場合は顔を合わせて朝礼を行えるわけですから、ぜひ取り組んでみてください。
よほど成熟した組織以外では、スタッフに対して、経営者自らが考えていること、やりたいと思っていること、ビジョンを、常日頃から語りかけましょう。
考えが決まってないからいえない?いえいえ、大丈夫です。
決定事項でなくても、スタッフたちは、トップから語りかけてもらいたい、パーフェクトでなくてもいいから考えていることを伝えてもらい、牽引していってもらいたい、と思っているのです。
寡黙であることの価値を認める人はいません。
院長はもっと「話し」をしましょう!

※この内容は吉野真由美による動画での無料講座でも、見ることができるようになりました。
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>>(社)国際医療経営学会 代表理事 吉野先生 http://www.jihiup.jp