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嫌がる子どもの歯磨き その2

2011年12月05日

前回、子どもが歯みがきを嫌がる理由には、保護者の要因と子どもの要因に分けることができると述べた。
そこで今回は、保護者の要因について考えてみる。
幼児期においてもっとも歯みがきを嫌がる時期は。
1歳6ヵ月から2歳6ヵ月の頃である。この頃は、保護者自身が、歯を磨いてあげることに慣れていないため、不用意に痛みを与えていることが多い。
すなわち歯みがきのテクニックの問題と言える。

例えば、歯ブラシの毛先が舌や頬粘膜に当たっていないだろうか?痛みがあれば子どもは嫌がる。
それに気づかず、強引に磨けば歯ブラシを好きになるはずがない。
これを避けるためには、保護者の膝に寝かせで口腔内がよく見てえる姿勢で磨く必要がある。
もちろん、小さい歯ブラシで。
また、この時期は上唇小帯が発達しており、ひっかけやすいので、左手の指で小帯を軽くガ-ドして磨く必要がある。
(図1)

さて、もう1つの要因として保護者が歯を磨かなくてはと思うと、心の余裕がなくなることだ。
いつも笑顔の保護者の顔が急にこわばる。
さらには、歯ブラシを持つ手も緊張する。こういった保護者の心の動きは、敏感に子どもに伝わるだろう。
「これから何をされるのだろう?」「嫌なことをされるのではないか?」かくして子どもは、歯みがきを嫌がる。
子どもに泣かれるのではないか?と思うと、緊張が体内を駆け巡る。
それが伝わり、嫌がり始める。
さらには悪循環に陥り、本格的に泣き出す。

筆者も麻酔を打つ際、指先の緊張を伝えない。
このことは、なにがなんでも虫歯予防のためには、歯ブラシをしなければならない。
と、お母さんに悲壮感をもたせるような私達の指導方法に問題があるのかもしれない。
お母さんが歯を磨いてあげなければならない。
と思えば思うほど、表情はこわばり体が固くなるのですから、このための指導は、まずお母さんをリラックスさせることが大切だ。

そのためには、歯みがきをする時に歌を歌ってもらったり、なにか言葉がけをしながら磨いてもらっている。
そうするだけで普段のお母さんのやさしい表情にもどる。その顔を見て子供はきっと安心するだろう。

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