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謎解き唾液学 【19】唾液と“あいうべ体操”

2016年06月20日

夜間授乳による乳前歯口蓋の脱灰は、乳酸菌が出す酸による酸蝕症の可能性がある。

(図1)
スライド1

寝ている間は唾液が出ないので、緩衝能が極端に低下するためである。

しかし、母子ともに眠りにつくと、歯を磨くのはめんどうだ。

何か、良い方法はないものか?

さて、唾液分泌は、顎や舌の動きと深く関係する。

ここで、舌を上前方に伸ばしていただきたい。

すると、口腔底の容積が増え顎下線・舌下腺が陰圧になる。

この瞬間、血液が唾液に置き換わる。

従って、舌を元に戻すと唾液が出る。

(図2)
スライド2

次に口を大きく開けると、頬が耳下腺を押し唾液が出る。

そして口を閉じると、頬部が緩み耳下腺が陰圧になる。

唾液は血液から作られ、顎や舌の動きによるポンプ作用で出ることがわかる。

(図3)
スライド3

しかも刺激唾液、緩衝作用が安静時唾液より20~30倍強い。
 (【9】なぜ刺激唾液は緩衝作用が強いのか? http://www3.dental-plaza.com/archives/5617)

CAT21Bufテストで低リスクの唾液1mlは、なんと水10,000mLに相当する。
 (【12】CAT21bufテストの開発(1) http://www3.dental-plaza.com/archives/5699)

寝ていても、顎や舌が動けば唾液が出て緩衝能が上がるはずである。

さて、乳児の歯グキを指でコチョコチョと軽くこする。

口を触られることに慣れた低年齢は、歯磨きを嫌がることが少ない。

そこでだ。

乳児が眠ったら、くわえた乳房をゆっくりはずす。

代わりに小指を口に入れて軽く刺激する。

こうすれば、顎や舌が動き唾液が出る。

これで乳前歯口蓋の脱灰が、抑えられるかもしれぬ。

お誕生日を迎え乳前歯が生え始めても、臼歯部は生えてないので咬まれることはない。

一度試されたい。

さて話は変わるが、高齢者の口腔乾燥症が問題になっている。

これは、義歯の吸着や疼痛など不快症状を引き起こす。

原因の一つに、薬剤による自律神経への影響がある。

しかし薬剤で唾液が減っても、それを取り戻す方法がある。

それは、意識的に顎や舌を動かすことだ。

例えば、“あいうべ体操”。

福岡の内科医 今井一彰先生が考案されたこの方法。

もはや知らない歯科医はいないだろう。

(図5)
スライド5

この体操を行うと唾液が溢れ出る。

さらには口腔周囲筋を鍛え、鼻呼吸を促し嚥下機能の向上にもつながる。

顎や口を動かして出す唾液は、歯科医のつよ~い味方なのである。

 ※“あいうべ体操”のパワーポイントは以下からダウンロード可能です。
 →http://okazaki8020.sakura.ne.jp/aiube.ppt 医院や地域でご活用ください。

前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/