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【4】使えるマニュアル、使えないマニュアル

2016年05月16日

こんにちは。埼玉県開業の関根です。

今回は、院内マニュアルについて考えてみたいと思います。

院内マニュアルというと大げさに聞こえるかもしれませんが、ちょっとした業務の手順書はどの医院にもあると思います。

関根歯科医院でも比較的多くのマニュアルを用いて日常の業務を管理しています。

マニュアルというと「型にはまっていて応用が利かない」、そんなイメージをお持ちの先生もいらっしゃると思います。

もし実際に業務を行うスタッフが

「マニュアルに書いているとおりにやっていればよい」

「どんな場合もマニュアルに書いてあることが優先される」

という考えであれば、確かにマニュアルの長所は生かされないかもしれません。

しかしマニュアルを用いることで院内での基準を明確にし、そのうえで現場では状況に合わせて柔軟性をもって対応すれば、
マニュアルの良さを十分に生かせると感じています。

1)マニュアルを用いるメリット

関根歯科医院ではこれまで必要に応じて改善を重ね、マニュアルを使用してきました。

今となってはマニュアルがない状態というのは想像がつきません。

それは、私の医院が比較的多くのスタッフで運営されており、基準の必要性が大きいからかもしれませんが、
医院の規模にかかわらずマニュアルには、

  [1]業務を行う際の手順、結果に対する基準を明確にすることで、複数のスタッフが一定の結果を出しやすい

  [2]新人スタッフに仕事を教えたり、業務を引き継ぐ際に教育のための資料として用いることができる

  [3]院長または、先輩スタッフが他のスタッフを評価する時に客観的な基準と照らし合わせて判断できる

などのメリットがあると思います。

2)マニュアルをスタッフ教育に生かそう

前述の[1]は、まさにマニュアルの目的そのものと言えますが、私は[2]の教育に関してもマニュアルの存在が大変有効だと感じています。

複数のスタッフを雇用し一緒に仕事をしていると、さまざまなタイプの人がいます。

几帳面で細かい人もいれば、スボラで大ざっぱな人もいます。

もともと器用な人もいれば、不器用な人もいます。

これらの特徴が業務の結果に影響のない範囲であれば、その人の個性としてそれほど気にする必要はありません。

しかし、実際は仕事において到達するレベルやそれまでに要する時間には、このような個人の資質が大きく関与しています。

また、このような個人差には、それぞれのスタッフがもつ価値観が大きな影響を与えていると感じます。

たとえ能力が同じであっても、何に優先順位を置くか、またはどの程度で良しとするかなど、
個人の感覚が違えば当然取り組み方や結果も変わってきます。

教育がうまくいかない、ひいては人間関係がうまくいかない。

そういった理由のなかには、じつは教える側と教わる側にこのような価値観の違いがあることが多いのではないかと思います。

「何回も教えているのに、なぜできないんだ」

「なんで同じように教えているのに、こんなに結果が違うんだ」

と思うことがありませんか? 

このような場合でも、当人としては

「自分なりに一生懸命やってます!」

というのが実際のところです。

先ほども述べましたが、何に重きを置くかということに違いがあれば、行動として現れる部分にも当然違いが出てきます。

でもその違いが、
「この人はやる気がないのではないか?」
「仕事を甘く考えているのではないか?」
といった不信につながることもあります。

ここで間違えてはいけないのは、そのような誤解は個々の価値観の違いから生まれており、決して本人にやる気がないわけではないということです。

就職活動、面接を経て、晴れて新入社員になったばかりのスタッフに、やる気がない人はほとんどいません。

それは職業意識というよりは、
「早く慣れたい」「認めてもらいたい」「居場所をつくりたい」
という、もっと根本的なところからくるものだと思います。

この最初の段階での自発的な努力をどの方向に向ければいいかを、きちんと示してあげることが重要だと思います。

そのために、当院では以前お話しした、医院理念で方向性を示し、あわせてマニュアルで実務に必要な基準を提示しています。

それがきちんと示されていれば、本人は「早く職場に慣れたい」という自発的な努力のなかでこれらを吸収し、
こちらは無理してやらせる側ではなく、本人の欲求の達成を手伝う側になります。

本人が自分で進むという前提があってこそ、
ネガティブなコミュニケーション(怒る、ダメだし)ではなく、
ポジティブなコミュニケーション(褒める、励ます)が多くなってきます。

せっかく努力をするのですから、自分なりに、ではなく、医院の方針に沿った、というほうがいいですよね。

3)マニュアルによる業務の標準化

マニュアルで個人による曖昧さを排除している例を1つご紹介します。

ディズニーランドには、驚くほど作業を細かく分割したマニュアルがあるそうです。

たとえば、「テーブルを掃除する」というマニュアルには、

   [1]テーブルを端から端まで拭くときには、ダスターを使い、左から右へ拭く

   [2]右端へいったら直前に拭いた部分と30%重複するように右から左へ拭く

   [3]天板を拭き終えたら、次にテーブルの縁の部分を右回りに1周拭く

   [4]最後に床のチェックをし、雑巾とホウキを使い、ゴミや汚れを取り除く

と、4つのステップが書かれています。

ディズニーランドがマニュアルをつくる理由は、
“誰がやっても一定の水準を満たす仕事ができるようにする”
ためだそうです。

「テーブルをきれいにしておいて」という指示では、作業者によって結果に差が出てしまうのだそうです。

まさに、個人の価値観ではなく、設定した基準を共通の優先事項にする仕組みですね。

繰り返しになりますが、何も基準がなければ個人の価値観の違い、認識の違いでぶつかることが多くなります。

環境と仕組みで基準を示すことで、お互いがプラスのかかわりをもち、一緒に取り組んでいきやすくなるのではないかと思います。

4)使えるマニュアルと使えないマニュアル

実際に、院内でマニュアルを作成する際に注意したいことがあります。

それは、マニュアルには、
「使えるとマニュアル」と「使えないマニュアル」があるということです。

「マニュアルは一応あるけど、あまり使ってないよ」という先生は、
「使えないマニュアル」を作成している可能性があります。

その代表的なものは、他院で使用していたものをそのまま使用するというパターンです。

関根歯科医院のマニュアルを資料としてお渡しすることがありますが、
与えられたマニュアルがそのままその先生の医院でうまく機能するわけではないことをお伝えしています。

やはり、自院の状況や必要性に応じて、具体的な内容を検討したものでなければ、実際の現場で有効なものにはなりません。

同じように、院長先生がつくったものをスタッフに渡しただけ、というものも現場のスタッフたちにとって使い勝手がいいかどうかはわかりません。

もっとも良いのは、
「どの点を重視したマニュアルにするのか」「基準をどこに置くのか」
といった先生の意向を含めながら、実際の流れはスタッフに案を出してもらい、話し合いながらつくっていくというものです。

ここで、先生方の医院に込める思いや、優先事項を反映させることで、マニュアル自体がその医院独自の存在感を持ちます。

このようにして、自分の医院にあわせて自分たちでつくったものであれば、つくった経過も含め、現場での共通認識をもつことに役立つと思います。

ぜひ、皆さんの医院でも、簡単なマニュアルを作成するところから始めてみてください。

埼玉県北本市開業・医療法人惠仁会関根歯科医院
関根 聡
⇒ http://www.sekine-dc.jp/