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スタッフのヤル気を高める法【2】“認めてあげること”で、スタッフは頑張れる

2011年10月17日

私が社会に出るとき、いわれた言葉が今でも耳に残っています。
「どんな仕事も3年はやらないとものにならない。
一定の技術が身につかない。また、3年はそこで働かないと、その組織も元がとれない。
そして、あなたも3年間は同じところで働かないと、根気のない人だと思われ、自分の信用が下がり、次からの就職が難しくなる。
だから、どんなことがあっても、最低3年間はそこで働き、恩返しをすること。
その3年間で徹底的に習得したものは一生の宝だから、何でも学ぶ意欲をもって一生懸命取り組みなさい」まったくそのとおりだと思います。

3年間、頑張って働くことは……
・本人にとって=一定以上の技術が身につく
・医院にとって=教育に費やしたコストの元がとれ回収ができる
・本人にとって=途中で投げ出さず、根気よく働くことができる人間である、という信頼を勝ち取ることができ、今後の人生に有利など、本人にとっても、医院にとっても良いことづくめです。
逆に、3年未満で辞めてしまうと、本人にとっても、医院にとっても大損害になってしまいます。

そこで、まずは3年間、頑張って働いてもらうために、院長としては何ができるのかを考えていきましょう。
私が女性90%の組織を育てて運営していたときの、スタッフAさんの話です。
Aさんのことは、面接の時からよく覚えています。
採用の説明会にも遅れずにきて、まっすぐ私の目を見て真面目に話を聞く人でした。
少し消極的で怖がり、臆病な印象のある人でした。それまでのキャリアは、まったく何もありませんでした。
入社するまでは、家事手伝いで、学校卒業後どこにも就職することなく無職だったのです。
そんなAさんを「素直そうだ」という理由で私は採用しました。

何のキャリアもないため、育成はゼロからのスタートでしたが、Aさんも不器用ながらに、コツコツ頑張って必死でついてきてくれました。
最初はその口下手、消極性がたたってか成果を出せませんでしたが、3ヵ月目にようやく結果がではじめ、6ヵ月後には全国1千人中トップに立つくらいの成果を出すようになっていきました。
それにしても、Aさんはよく頑張りました。
朝も昼も夜も、お客様とコミュニケーションしたり、勉強したり、電話をかけたり・・・傍からみてもいつ休んでいるのかわからないくらいでした。
本をよく読み、自分でお金を出して、セミナーなどにも参加していました。

私はなぜ、Aさんがこんなに頑張るのか不思議でした。
そこであるとき、本人に聞いたのです。
「Aさん、あなたは本当によく頑張りますね! なぜ、そんなに頑張れるのですか?」するとAさんは、間髪を入れずすかさずこう答えたのです。
「だって、ここで頑張っていると認めてもらえるから!」私は、最初、意味がわからず黙ってしまいました。
「認めてもらえる・・・それだけで人がこんなにも頑張るものかしら?」といった疑惑があったのです。

でも、その後に続けたAさんの言葉で理由がわかりました。
「吉野マネージャー、実は私、体が弱くて小学校から大学まで、一度も1週間続けて学校に行ったことがないんです」「えっ、あなたが?今はこんなによく働くあなたが?」「今まで誰からも認めてもらえない存在で、私には価値がないと思っていました。
でも、ここで頑張ったら認めてもらえるんです」結果として、Aさんは3年以上も、私の下で成果を上げ続けました。

私は、Aさんとのやりとりではっきりわかりました。
人がまずは3年間、頑張って働くためには、「認めてもらう」ということが必要なんだ、と。
Aさんの例からわかるように、たとえ体が弱かろうと、過去に努力した経験がなかろうと、キャリアがなかろうと、自信がなかろうと、こちらが「認める」とうい形での働きかけが十分であれば、実力発揮してくれるスタッフは多い、ということなのです。

そこで、今回は一番端的な部下や後輩を認める言葉をご紹介していきます。
吉野式SOS話法です(特許庁に商標登録済)。相手の認められたい、という欲求を満たす言葉かけの技術です。
SOSとは、
S…すごい!
O…教えて!
S…さすが!
です。
スタッフが、ちょっとした仕事をマスターして、自分ひとりでできたときに、こんなふうにいってみましょう。

「すごいじゃない!もう○○をマスターしたんだ!さすがですね!どうやってマスターしたのか教えて!」このようにいわれたスタッフは、どんな気持ちになるでしょうか。
「先生は私が短期間でマスターしたこと、その努力を認めてくれた!うれしい!」こんな気持ちです。
そして、認められたうれしさから、また次の仕事も短期間で確実にマスターしようと思うのです。

こういった認める言葉を、本当にちょっとした小さなプロセスで頻繁に使っていくことが、スタッフのヤル気を高め、伸ばす秘訣なのです。
それが、まずは3年間頑張って働いてもらうことへの一歩なのです。

※この内容は、吉野真由美による動画での無料講座でも見ることができるようになりました。
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>>(社)国際医療経営学会 代表理事 吉野先生
http://www.jihiup.jp