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訪問歯科診療をうまく進める為の留意点【1】訪問歯科はすべきか否か!?

2011年10月03日

皆さん、はじめまして。全国介護歯科協会の前田剛志です。先日、野田内閣が組閣され、その閣僚の中になんと同姓同名の前田武志議員が選出されていましたが、あちらの前田さんに負けじと、私も頑張っていきたいと考えています。

さて、これから6回にわたり、訪問歯科をすすめるにあたり、成功させるコツ、留意すべき点を、経営面からご紹介していくことにします。この連載が、皆さんの歯科医院経営に少しでもプラスになれば幸いです。まず第1回目の今回は、そもそも「訪問歯科はすべきか否か?」について考えていくことにします。

近年、盛り上がりを見せる訪問歯科。手がけてみたいという院長先生も多くおられるかと思いますが、「院内での診療もあるし、訪問まで手がけられるのか?そこまでしても訪問は手がけるべきなのか?」と迷われている先生もおられるかと思います。

そこで、いくつかの視点から訪問歯科の利点について考えていきます。まずは【売上面】からご紹介いたします。いきなり核心をついたポイントで、先生方も気になるところでしょう。

治療内容や施設・居宅によって点数も上下しますので、あくまで平均値ですが、外来でのレセプト単価は(地域にもよりますが)約1,200点に対し、訪問歯科では介護保険も合わせて約4,000~5,000点あります(月来院回数2回と計算して1回当たりの点数としては約2,000点)。月に20人の訪問患者を診たとしても10万点近くの売上が上がる計算です。

また、外来診療の場合、ユニットの台数などどうしても設備上の限界売上は出てきてしまいますが、訪問歯科の場合、そうした診療所のスペースの限界を超えて売上を上げていくことができるのも利点です。乱暴な言い方をすれば、訪問車とスタッフを増やせば、後は訪問依頼の反響次第で売上はどんどん上がっていきます。

さらに、経費も大掛かりな技工などがあまりないため、外来と比べて低くなりますので、利益率も高いといえます。次に【人材面】で、いくつかのパターンで考えてみていくことにします。

1)現在、歯科医師が院長1人で、外来予約がそれほど埋まっていない場合

この場合は、院長自身が訪問に出ていけるケースです。まずは昼休みを利用して訪問に行くことからはじめられてもかまわないでしょう。また、昼過ぎの予約があまり入らないのであれば、少し休み時間を延長して訪問に出られるのもいいかもしれません。

2)現在、歯科医師は院長1人だが、外来患者もかなりいて、院長1人でも外来が回らないときがある場合

「勤務医を1人雇いたいけど、そこまでの患者さんはいないんだなぁ・・・」という、私がよくお見かけするケースです。この場合、勤務医を雇って「半分は院内・半分は訪問」という形で勤務してもらうと、非常にうまくいくことが多いようです。これは、何も訪問だけに限りませんが、人員を拡充して経営を拡大していくときには、どうしても先行投資は必要になってきます。今来ている患者数と医院が対応できる数とは常にアンバランスなものですが、訪問歯科をうまく取り入れると、人員を拡充するときのリスクを低減することができます。

3)現在、歯科医師が院長以外にもいる場合

いつでも訪問に行ける体制を整えやすい、もっとも恵まれた体制だと思います。訪問歯科の依頼はやはり緊急性を要するものも多いため、歯科医師が複数いると、そうした緊急対応ができ、紹介者であるケアマネージャーさんからの信頼も得やすくなるからです。このように、今の院内の人員がどのような状況でも、その気になれば、その状況に合わせた訪問歯科をスタートさせることができるとお考えください。

最後に【外来との相乗効果】というメリットもあります。介護の世界も、歯科と同じく地域密着でサービスを行っています。また、介護人材の流動性は歯科よりも高く、1年で人材がガラリと変わる事業所も珍しくありません。何が言いたいかというと、同じ地域でグルグルと人材が回っていて、それにあわせていろいろな評判も巡り巡っているわけですから、むしろ歯科の世界よりも介護の世界は狭いと考えてもらってもいいくらいに、評判は広まります。

ですから、「○○歯科の訪問歯科は患者さんにすごく喜ばれた」という話は広まりますし、「訪問歯科の評判が良い○○歯科は、外来診療も悪くはないはず」と思われるのは自然かと思います。こうして、訪問歯科で評判が広まれば、外来の患者さんもそれにつれて増えるケースを、私はいくつも見てきています。まさしく、訪問診療と外来診療の相乗効果が期待できるわけです。

以上、【売上面】【人材面】【外来との相乗効果】で訪問歯科の利点についてみてきましたが、もちろん欠点がないわけではありません。例えば、【人材面】でいうと、技術を高めたい勤務医が訪問歯科を敬遠する傾向にありますので、院長が訪問専門で働いてほしいと思っていても、そうはならないケースもあります。

また、【外来との相乗効果】では、良い評判についての相乗効果について書きましたが、気をつけなければならないのは、その逆、訪問歯科で悪い評判が立つとどうなるか、ということも考えなければならない点です。しかし、そうしたマイナス面を考慮してもなお、訪問歯科を進めていくのは、この超高齢社会に適応した非常に良い方向性です。

>>全国介護歯科協会 代表 前田 先生
http://www.kaigo-shika.com/