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【1】スタッフに対する接し方を見直してみませんか?

2016年04月04日

皆さんこんにちは。

埼玉県で開業している関根といいます。

早いもので開業して11年目になりますが、1度のリニューアルを経て現在は23名のスタッフで日々の診療を行っています。

1つの医院の規模とすると中型からやや大型の医院といえると思います。

23名のうち歯科医師の人数は6名ですから、この11年間の自分の経験を振り返ると、
どのようにしたら歯科医師以外のスタッフに力を発揮してもらえるかを考える機会が多かったように思います。

そこで、このメルマガでは6回にわたり、
「どうしたらスタッフの力を最大限に引き出し、その結果として医院を活性化できるか」について、
私自身のこれまでの経験をふまえ皆さんにお伝えしていきたいと思います。

 
1.スタッフマネジメントって何?

スタッフマネジメントという言葉が歯科の世界でも聞かれるようになってずいぶん経つと思いますが、
皆さんはマネジメントという言葉にどのようなイメージをおもちですか?

マネジメントという言葉を調べてみると

「さまざまな資源、資産、リスクを管理し、効果を最大化する手法のこと」

とあります。

たとえば、関根歯科医院を例に挙げると、全従業員23名の医院が23名分の力を発揮するのは意外と難しいものです。

それどころか、23名いても15名分ぐらいで動いているということはよくあるのではないでしょうか。

まして23名が30名分の力を発揮するというのはどういう状況なのかと思ってしまいませんか?

これは5名または10名ほどの規模の医院でも同じことが言えると思います。

現在、私の医院ではいろいろな経験や試行錯誤を重ねた結果、
全体として何とか人数分、時には人数分+αの力が生み出せるようになってきたと感じています。

同じ人数が集まっているのにこのような成果の違いが出てくるとしたら、誰もがより大きな成果を望みますよね。

ここで大切になってくるのが、マネジメントという考え方とそれを運用する先生方の立ち位置なのではないかと思います。

院長という立場からスタッフマネジメントについて考えたとき私は、
 (1)コミュニケーション
 (2)環境設定

という2つの大きな軸があると考えています。

(1)のコミュニケーションとは先生方のスタッフに対する“接し方”です。

そして、(2)の環境設定とは“医院の仕組み”のことです。

ですからマネジメントという言葉が馴染みにくいという先生も、
ご自身のスタッフに対する接し方、院内の仕組みの見直しという視点から読んでいただくとわかりやすいのではないでしょうか。

第1回目では私の経験を振り返り、私自身のスタッフへの“接し方”がどのように変化してきたかについてお話したいと思います。

 
2.鬼軍曹時代からの脱却

今から6年前、他業界のコンサルタントをされている方と知り合う機会があり、その方が当院を訪問してくれたことがありました。

そして私に言った言葉が「関根さんは(まだ)鬼軍曹なんですね」でした。

私ももちろん実際の鬼軍曹は知りませんが、想像するとなんだか高圧的な態度で現場を牛耳っているイメージがありますよね。

その時はその言葉を深い意味でとらえることができませんでしたが、内心
「鬼軍曹で何が悪いんだ、組織を引っ張るためには強いリーダーシップと緊張感が必要だろう!」
と思っていました。

当時は現在と比べると1/3ほどの規模でしたが、私の歯科医師としての成長にともなって医院が少しずつ形になってきた時期であり、
そういう自負もあったのだと思います。

しかし、今振り返ってみると、この鬼軍曹スタイルはマイナスの面も多かったと感じています。

とくにスタッフに活躍してもらうという観点からするとむしろ足を引っ張っていたようです。

鬼軍曹スタイルの院長の欠点をひと言で言うと、
「周りのスタッフに自分で考え、判断し、行動する機会を与えていない」
という点です。

以前の私がまさにそうでした。

しかし私の場合はリニューアルの際の規模の拡張にともない、1人ですべてを把握することに限界を感じ、変化を余儀なくされました。

もちろんすぐに変われたわけではなく、次回以降お話しする仕組みづくりをスタッフと一緒に行っていった結果、
ようやく鬼軍曹を卒業することができました。

現在はまず個々のスタッフの意見や何をしたいのかを重視し、私がやらせるというよりは本人が自ら取り組むことをサポートしたいと考えています。

このスタッフ自身が考えるということがスタッフの力を引き出すうえでカギになってくるようです。

 
3.プレーヤーとマネージャーの違い

私たち歯科医院の院長は、歯科医師という医療技術の専門家であると同時に経営者です。

しかし実際には、多くの先生が勤務医時代の歯科医師としてのイメージ、
つまりプレーヤーとしてのイメージの延長で医院を開業しているように見受けます。

勤務医の時は、ご自分のプレーヤーとしての技量を高めることに専念できましたよね。

しかし本来、経営者の仕事は現場での実務よりも全体の管理に重きを置くのが普通です。

歯科医師の場合は完全な経営者というのは難しく、どうしてもプレイングマネージャーになることが多いと思いますが(もちろん経営に専念されている先生もいらっしゃいます)、それでもプレーヤーとしての自分とマネージャーとしての自分を分けて考えることで見えてくるものがあると思います。

そして私の経験上、
マネージャーとしての技量も歯科医師としての技量を高めることと同様、学び、実践し、経験を積むなかで確実に上がっていくようです。

ここで注意しないといけないのは、先生方が自分以外のスタッフに接する時、
プレーヤーの自分として接しているのか、
またはマネージャーの自分として接しているのかによって、
相手の何を見て何を求めるかが違ってくるという点です。

スポーツにたとえると、チームの花形プレーヤーが他のチームメイトからアドバイスを求められたとき、同じプレーヤーとして

「自分にはできることがなぜこの人にはできないのか」

と考えてしまうのではないでしょうか?

逆にチームの監督、マネージャーという立場であればその選手のパフォーマンスをいかに上げるかが仕事ですから

「どうしたらできるようになるだろう」

という視点で話を聞くと思います。

これは極端な例ですから、プレーヤーのなかにも親身にアドバイスをする人もいるでしょう。

しかし、それはその時点でその選手のなかのコーチやマネージャーの部分が表現されているのだと思います。

話を医院に戻すと、私たちが自分以外のプレーヤーである周りのスタッフに、
プレーヤーとしての意識で接するのか、
マネージャーとしての意識で接するのかで、
だいぶ様相が変わってくるということです。

院長である先生方は知識、技量、責任、使命感、どれをとっても医院のなかでは間違いなく花形プレーヤーです。

その先生方から見れば、他のプレーヤーは物足りなく感じることが多いのではないでしょうか。

でも、そこで経営者として、監督やマネージャーの立場から他のスタッフを見ることで、その人に対してのかかわり方が変わってくると思いませんか?

 
4.一緒にマネージャーとしての資質を磨いていきましょう

今回は私のスタッフに対する接し方、またその変化についてお話してきました。

次回以降は、私の医院で行っている仕組みづくりに関する事例を紹介していきます。

しかし、それらの方法を使ってスタッフを変えようとか動かそうと思うと、なかなかうまくいかないかもしれません。

それよりも、先生方がマネージャーとしての技量を高めていく変化や成長の一助にしていただければ、
確実に院内の変化が実感できるのではないかと思っています。

その結果として、スタッフが伸び伸びと力を発揮できるようになれば、
先生方自身にとっても、来院される患者さんにとっても、プラスになることがたくさんあると思います。

 スタッフが力を発揮すること
   ↓
 医療サービスの質の向上
   ↓
 患者満足
   ↓
 医院の経営的な安定

この流れをしっかり頭に入れ、これから一緒にマネージャーとしての資質を磨いていきましょう。

埼玉県北本市開業・医療法人惠仁会関根歯科医院
関根 聡
http://www.sekine-dc.jp/