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医院に活気を生むスタッフとの上手なコミュニケーション【6】コミュニケーションひとつで医院のポテンシャルが格段に高まる

2015年12月21日

(1)ルールや規則だけでは強い組織はつくれない

改めてになりますが、歯科医院はヒューマンビジネスです。

人が品質や収益を作り出すビジネスモデルなので、活気のある強い組織をつくることができるかどうかで、提供する医療の質も収益も左右されるのです。

そして、強い組織をつくるのに必要なのはコミュニケーションです。

もちろん、強い組織をつくるのにルールは必要です。

しかし、そのために院内の規則や決め事を増やしたり、スタッフとのトラブルをなくするために
就労規則を定期的に追加している医院を見ることがありますが、ルールでは強い組織をつくることができません。

なぜなら、過度なルールは自主性や自分で考えることを奪ってしまうから。

ですから、ルールはできる限りシンプルで少なくが理想です。

その上で、リーダーシップを取り、信頼関係で結ばれた個々人を尊重する組織をつくること。

そうすることで、活気のある強い組織ができるのです。

そのために不可欠になるのがコミュニケーションです。

(2)コミュニケーションの理論を学び、それを繰り返し実践する

ですから、医院経営を成功させるためにも、院長はもっと真剣にコミュニケーションに取り組むべきです。

スタッフがいうことを聞かない、
仕事に対するモチベーションが低い、
権利ばかり主張する……など、
スタッフに関する悩みを抱えながら、コミュニケーションに関する本を読んだり、セミナーに参加して真剣に学んでいる先生はあまりいません。

コミュニケーションの上達は、スポーツに似ています。

闇雲に練習をしたからといって、スポーツでは上達することはありません。

逆に、間違えたトレーニングを続けることで、体を壊すことになりかねないのです。

それぞれの競技における正しいフォームを学んで反復練習を繰り返す。

正しいトレーニングを行うことで上達することができます。

コミュニケーションも同じ。

経験をつんだから上達するというものではありません。

もし、コミュニケーションが経験によって上達をするのなら、高齢者はみんなコミュニケーションの達人になっているはずなのです。

たとえば、男性と女性では、リーダーシップを取るための効果的なコミュニケーションの取り方が異なるということをご存知でしょうか?

男性には、特定の分野で圧倒的な実力差を見せた上で、トップダウンで指示をし、
互いに競い合わせるほうが伸びるし、モチベーションも高まります。

そして、どちらかというと短期的な目標や報酬があった時にやる気になるのです。

女性は、実力を見せつつも、並列な立場で指示をし、個々人ではなく、チームでひとつの目標やテーマに取り組ませたほうが伸びるし、
頼られたり、弱みを見せられたほうがモチベーションが高まるのです。

こうしたことを知らずに、男性と女性を同じように考えていると、うまくコミュニケーションを取ることはできません。

(3)徹底的に相手の話を聞くことで、ラポールを形成しよう

もちろん、こういったコミュニケーションの根っこには、ラポール(親和性)を土台にしたリスペクトされることが必須になります。

それを形成しないまま、男性にトップダウンで指示をしても、女性に頼っても、受け入れてはもらえないのです。

時々、とくに女性スタッフとのコミュニケーションで、仲良くしようとするあまりに、
いつの間にか馴れ合いの関係になってしまっている組織を見るのですが、
これなどは、スタッフからリスペクトをされていない良い例だということができるでしょう。

「どうやっていうことを聞かせよう」と考える人は多いのですが、
「どうやって聞こう」と考える人は少ないもの。

そして、伝え方ばかりを学んでいるのです。

院長は仕事のスタイルからいって、あまり時間をかけることはできないでしょうから、
聞くテクニックを学び、スタッフに短い時間でもしっかり聞いてもらえた、と思えるようにしたいですね。

相手の話を聞くことは、ラポールを形成する以外にも、
相手のことを知ることができるというメリットがあります。

敵を知り己を知ればではありませんが、相手のことがわかれば、リスペクトされることは、それほど難しくなくなるのです。

その人の受け入れ範囲を踏まえた上で、興味を持ち、受け入れ、理解できる形で、
自分の医療や患者様、スタッフに対する想い、ミッションやビジョン、世の中に対して何をしたいのかなど、
医療人、そして経営者であれば当然持っていることを語り、協力を申し出ればいいのです。

(4)「叱る」と「褒める」のバランスが大事!

現場でよく出てくるのが、褒めるのか、叱るのかという悩みだと思います。

人間は褒められたほうがモチベーションは高まります。

ですから、基本的には褒めること。

しかし、行動経済学において「叱るの13倍以上褒められると生産効率が下がった」という実験データがあります。

そして、こういった実験から、
理想的な褒めると叱るの割合は、8:2、あるいは7:3くらいが、
スタッフのモチベーションは一番上がり、長期的に成長し続けることがわかっています。

叱るというと、世の中には「叱る」と「怒る」は違うという考えがあります。

叱るは、理論的に言い諭すこと。

怒るは、その感情をぶつけることです。

そして、人を育てるときは、怒ってはいけない、叱るべきだといわれています。

しかし、コミュニケーション学では、怒ることも重要であるとされています。

それは、人間は感情で情報の下処理をしますし、根底的に人に嫌われたくない(愛されたい)という欲求や、
期待を裏切ってはいけないといった価値観を持っているので、感情をぶつけられたほうが、理論的に長々と言い諭されるより、
相手のいっていることが理解できるし、変わろうとするようになるからです。

もちろん、感情をぶつけるというのは非常にデリケートな内容で、間違えて行うと反感を買うことになりかねません。

ですから、きちんとコミュニケーションを学び、正しいやり方を理解したうえで実践する必要があるでしょう。

このように、コミュニケーションを学び、知ることができれば、活気がある強い組織をつくるためにできることはたくさんあることがわかります。

今回、6回にわたってコミュニケーションについて語ってきましたが、
これを機会に、是非、コミュニケーションに関心を持って、本格的に学んでいただければと思っています。

そうすることで、先生の医院のポテンシャルはどんどん高まっていくのです。

医療法人社団いのうえ歯科医院 理事長
歯学博士・経営学博士
井上 裕之
⇒ http://www.inoue-dental.jp/