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院内の良い雰囲気づくりでファンがドンドン育つ【1】幸せモチベーションにスイッチを入れる

2015年06月19日

私は、歯科で働く女性の方々にもっと幸せになってほしい、歯科というステージでキラキラ輝いてほしい、仕事に価値を見出し、誇りをもってほしい、そのように強く願い、自身の体験や経験から皆さまにお役に立てる情報提供をしています。

今回の連載で、少しでもスタッフの皆さま方が明るく幸せになれる方向を示すガイド役を努めさせていただきます。

(1) モチベーションとは人が動く原動力であり、きっかけとなるもの

職場の良い雰囲気づくりで大事なこととして、まずデンタルスタッフの働くモチベーションについて取り上げます。

仕事をする上で、働くモチベーションこそもっとも大切だと思うからです。

モチベーションは、上げることよりも維持することが大切です。

多くの院長先生・経営者が、スタッフのモチベーションの維持に奮闘し、マネジメントの中でも、非常に大きなテーマとなっています。

それはスタッフあっての組織だからです。

モチベーションは「動機」と直訳されます。

人を動かす原動力、人が動く機会、きっかけとなるものです。

車を動かすものはエンジン、電車を動かすものは電気、人を動かすもの、それが「モチベーション」です。

アメやムチを使って人を動かすことはできます。

動く機会にはなりますが、これは良質なモチベーションにはなりません。

そんなことは頭ではわかっていても、実践の中ではなかなか体や心がわかっていないものです。

(2) 回避型動機と接近型動機の違い

モチベーションのシステムを少しご紹介します。

モチベーションには、回避型の動機と接近型の動機があります。

どちらも人が同じ方向(この場合A方向)に動く動機づけです。

小さな子どもがいます。

Aという方向に動かしたい場合、子供の嫌なもの、怖がるものを反対側に置いてみましょう。

私の息子の例をあげると、彼は犬が大の苦手です。

犬がBの方向にいたら、彼は反対側のAの方向に一目散に駆け出します。

泣きながら走るかもしれません。

これがAという方向にすすむひとつの方法です。

回避型(外発的)動機(モチベーション)といいます。

嫌なものを避けるための動機で人を動かす方法です。

もうひとつの方法は、歩ませたい方向に魅力的なものを置き、積極的に引き寄せられるようにしてすすませる動機づけです。

たとえば、小さな子どもの場合は、お母さんや興味のあるもの、好きなもの、に引き寄せられます。

私の息子の例をあげると、母親(私)の存在ではもう引き寄せられませんが、今、彼が興味を持っている映画館や美味しいレストランなら、喜んでその方向にすすみます。

これを接近型(内発的)モチベーションといいます。

どちらもすすむ方向は同じ。

けれども動機の種類が違うということです。

どちらが良質なモチベーションか(?)と考えたら、もちろん後者の接近型のモチベーションです。

患者さんが歯科治療に臨むときも同じです。

「しっかりメンテナンスに取り組まないと、先生や歯科衛生士さんに叱られるから!」と半ば強制的にイヤイヤ取り組む――このモチベーションは回避型で良質なものではありません。

患者さんの継続性も弱いです。

「口腔内のメンテナンスが未来の豊な幸せ、より良い人生につながっている!」と確信して自らすすんで取り組む――このモチベーションは接近型でパワフルです。

ご自身が望んで得たいものを取りにいくのですから、成果や結果につながります。

接近型(内発)モチベーションは、日々の生活をイキイキ豊かに輝かせますから、歯科医院の現場でスタッフの方は、接近型(内発)モチベーションをフル活用してみましょう。

何のために仕事をするのか?

「先生に叱られるから!」
「親が仕事をしろというから!」
「お金がないと困るから!」
という回避動機は、良質なモチベーションではありません。

「仕事をすることで自分自身が磨かれ成長するから!」
「女性力が上がり魅力的な自分になるから!」
「人に貢献することが自分自身の内面価値を高め、幸せな感情が味わえるから!」
「日々、仕事をするステージを与えていただき、私はここで輝きながら成長する!」
……そんな接近動機が仕事をするスタッフには必要です。

(3) 外発的モチベーションと内発的モチベーションの違い

モチベーションのもうひとつの理論に「外発的モチベーション」と「内発的モチベーション」があります。

これは、動く根源となるものが、自分の外側にあるか内側にあるかということです。

外側要因になるものとは
「アメとムチ的なもの」「給料・勤務形態・条件」……などに影響をされて動くものです。

お金はとても大事ですが、不満足要因といい、いくら与えられても満足することができない要因の最たるものです。

不満足要因では、与えられたら一時的にやる気は出ますが、すぐに足りなくなって、また欲しくなります。

満足できないものを追い続けるのですから、ストレスを生みます。

いわばマイナスにしか振れないメモリです。

お金に働く動機づけを持たせると、満足することがないのでいつでも不平不満でいっぱい。

ふくれっ面で表情も人相も悪くなります。

足りないものを見ていけば(不満足要因)、表情は曇り、怒りとストレスに満ちてマイナスオーラが全開になります。

一方、内側要因とは
「仕事の満足感や充実感・達成感など、自分の内側から満たせるもの」で満足要因ともいいます。

自分から発生するものですから、外側の影響を受けずに満たすことができます。

与えれば与えるほど、どんどん増えていきます。

いわばプラスにしか振れないメモリのことです。

これは自分の中にある幸せスイッチです。

いつでも幸せになるためのスイッチは、自分の中だけにあるのです。

もうすでに与えられているものがたくさんあることに、スタッフの方には気づいてほしいのです。

この与えられた側を見て、感謝のスイッチを入れることで、満足要因がどんどん膨らみ育ちます。

愛と感謝に満ちたプラスオーラ全開ゾーンです。

今回お話ししたモチベーション理論を、私がスタッフ教育を行う際、色分けをして、さらに女性スタッフにわかりやすく伝えるようにしています。

女性脳は男性脳よりも感性や感覚が優位なので、イメージで伝えると、五感が刺激されて、頭だけではなく心や体に響き、行動につながりやすいのです。

回避型のモチベーションの色は、黒やグレー、質感はドロドロ、形はとがってイガイガ、温度感は冷たい……。

接近型のモチベーションの色は、オレンジやピンク、質感はサラサラ、形はフワフワまるくて心地よい、温度感は温かく優しい……。

仕事をするときの自分のモチベーションを区分けしてみましょう。

とくに女性は五感で感じてみるといいですよ。

良質なモチベーションに目を向けて、その色、質感、温度感を感じてみてほしいのです。

それを感じるとき、幸せモチベーションスイッチが入るときです。

この幸せモチベーションを、患者さんにも、仲間たちにも分けていただければ、あなたの歯科医院は明るく、温かく、良い雰囲気になること間違いありません。

(株)オフィスウエーブ代表取締役
日本歯科プロアシスタントスクール(PAS)校長
澤泉仲美子
http://www.office-wave.jp/