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歯科医院にお金を残す6つのノウハウ【6】歯科医院の組織化に向けて医療法人成りのメリットを確認する

2014年12月11日

最終回となる第6回は、医療法人成りについてお話しすることにします。

医院が大きく成長してくると、「院長不在」で回る組織づくりが必要になってきます。
これを「組織化」といいます。

それと同時に、避けて通れないのが「医療法人成り」です。
医療法人成りにより、医院にお金が残る体制を整えることで、組織化がすすむスピードも速くなります。

そこで、今回は医療法人成りにどういったメリットがあるのかお伝えします。

★メリット1★ 個人所得と法人所得の所得分散で節税になる

「法人成りで所得分散ができる」という話を、一度は聞かれたことがあるかと思います。
しかし、「所得分散」がいったいどういうものなのか、詳しく理解されている先生は少ないように思います。
そこで、その内容を少し掘り下げてお話してみることにします。

(1) 所得税と法人税の違い

まずは、個人歯科医院の税金と医療法人である歯科医院の税金が違う点についてです。
個人医院の所得に対して課税される税金は「所得税」です。
所得税は所得が増えれば、それに応じて税率が高くなる仕組みになっています。
この仕組みを「累進課税」といいます。
最高税率は、所得1,800万円超の場合で40%にもなります(平成27年度からは、所得4,000万円超で45%になります)。

一方、医療法人の所得に対して課税される税金は「法人税」です。
法人税は基本的に所得に応じて税率が変わらず、一定の税率となり、その税率は22.5%です。
なお、特例として大企業を除いて、所得800万円以下の部分については、15%の低い税率が適用されることになっています(これらに法人住民税などがプラスされます)。

法人税は税率が一定でありながら、所得税の最高税率と比較すると、低い税率になっていることがポイントです。

(2) 院長に給与を支給できる

次に、法人成りをすると、医院から院長に役員報酬を支給できるようになる点についてです。
個人医院の場合、院長に対する給与(生活費)は経費に入れることが不可能でしたが、役員報酬はスタッフの給与と同様に、医院の経費(損金)に入れることが可能です。

法人成りにより、医院において役員報酬として経費が大幅に増加し、所得を圧縮できます。
その所得についても先ほど述べたとおり、低い税率の法人税が課税されます。
先生個人においては、収入源が医院の利益から役員報酬に切り替わり、所得の種類が「事業所得」から「給与所得」へと移行します。
ここで、給与所得のメリットである「給与所得控除」を受けることができます。
給与の金額に応じて、一定の金額を控除できるという制度で、65万円から段階的に大きくなり、最高は245万円です(平成26年現在)。

ここまでを簡単にまとめると、以下のようになります。

・個人医院の場合は、医院の所得に対して最高40%(平成27年より45%)の所得税がダイレクトに課税される。
・これに対して医療法人の場合は、医院の所得が役員報酬で圧縮され、負担の少ない法人税が課税される。
・院長個人についても、その役員報酬に対して給与所得控除が受けられる。
これが所得分散の効果です。

★メリット2★ 役員退職金の支給が可能になる

(1) 退職金の税務上のメリット

役員の方が退職される際に、定められた規定により退職金を法人から受け取ることができます。
そしてこの退職金は、医療法人の経費と取り扱うことができます。
退職金は通常の役員報酬のように給与所得としてではなく、「退職所得」として取り扱われ、有利になります。
つまり、退職所得は、他の所得と合算をしないことで、税金の負担が軽減されます。
計算の過程においても、給与所得控除のよりも大きい「退職所得控除」を控除できます。
さらに控除した金額に1/2をかけることで大幅に所得が減少します。

(2) 生命保険を活用する

「生命保険」を使って退職金のためのキャッシュを確保する方法があります。
個人の生命保険は、少額の所得控除が認められているのみですが、医療法人であれば一定の保険料が経費になります。
うまく活用すれば、退職金原資を毎年経費に算入しながら確保することができます。
ただし、保険の解約返戻金を受け取る際に注意が必要です。
高額な解約返戻金が収入として計上され、かなりの税金が発生するからです。
ここで役員の退職金を経費として充てれば、これと相殺することができますが、長期的な見積もり計算となり、リスクがないわけではありません。
生命保険のスキームは、入口(契約時)と出口(解約時)の戦略をきちんと立てておく必要があります。

★メリット3★ 消費税が一定期間免税になる

消費税の課税事業者に該当するかどうかの判定は、基本的に2期前の自費売上、雑収入(歯ブラシ等)等の課税売上合計が、年間1,000万円を超えているかどうかで判定します。
新規に法人を設立した初年度は、2期前が存在せず、売上はゼロ円となるため、設立後2期間は免税事業者になります。
また、法人設立時に資本金1,000万円を超えると課税事業者となりますが、医療法人では「資本金」の扱いが「基金」となりますので、資本金としての金額はありません。
そのため、消費税の申告が2期(税法改正により、一定の条件により1期)免税となります。
今後、消費税増税が検討されていることを考えると、大きなメリットになります。

★税金を制するものは世界を制す

ボクシングの世界では、「左を制するものは世界を制す」という言葉があります。
左というのはジャブのことで、いかにジャブをうまく使いこなすかが、世界チャンピオンになるためのカギだということです。
同様に、私は経営の世界では「税金を制するものは世界を制す」と思っています。
歯科医院において一番高い支出である「税金」を制することで、医院に残るキャッシュは大きく変わってくるのです。
ぜひ税金のことを理解して、先生の医院に残るキャッシュを「最大化」していただきたいと思います。
また、歯科医院の節税については拙著『歯科医院にお金を残す節税の極意』(クインテッセンス出版)に詳しく掲載しております。
⇒ http://tinyurl.com/kax5sts

ぜひこちらもご覧いただき、ご相談・ご感想等がございましたら、お気軽に弊社ホームページよりお問い合わせください。
⇒ http://www.dentax.jp/toiawase.html

税理士法人キャスダック
代表税理士 山下剛史
⇒ http://www.dentalkaikei.com