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歯科医院にお金を残す6つのノウハウ【3】意味不明な決算書を読み解き経営に活かす

2014年10月30日

第1回は「お金が残らない歯科医院」の共通点、第2回は「お金が増える歯科医院」の共通点をお伝えしました。

第3回は「意味不明な決算書を読み解き経営に活かす方法」についてお話ししていくことにします。

(1) そもそも決算書とはいったい何なのか?

決算書は「貸借(たいしゃく)対照表」と「損益計算書」という2つの書類で構成されており、貸借対照表には「資産」と「負債」が記載されます。

「資産」というのは、簡単にいえば「増えればうれしいもの」。
たとえば、現金や預金などの「キャッシュ系」、売掛金といって本来売上に上げるべきものでまだ回収できていない「売上債権系」(歯科の場合、社保・国保から後日入金される未収入金やカードの未収分など)、そして、チェアやレントゲンなどの「固定資産系」などがあります。

これに対し、「負債」とは、簡単にいえば「減ればうれしいもの」。
基本的には、借金やローンの残債などの「借金系」、買掛金といって本来経費にすべきもので、まだ支払ができていない「買掛債権系」(歯科の場合、翌月支払の材料代やその他の経費の未払分など)などがあります。

 一方、損益計算書には、「収益」と「費用」が記載されます。

「収益」には、患者さんから窓口でもらう負担金、社保・国保から入ってくる保険収入、自費の売上や歯ブラシなどの雑収入などがあります。
また、「費用」には、材料代や技工代、人件費、家賃、減価償却費などがあります。

そして、決算書を作るための複式簿記(ふくしきぼき)のルールというのがあります。

たとえば、「現金」による「売上」があれば、貸借対照表の資産(現金預金)が増えて、
それと同時に、損益計算書の収益(売上)が増えます。

このように1つの取引を2つの書類に分けて記録し、なぜお金が増えたのか、減ったのかを明らかにするのが複式簿記の考え方です。

決算書は、この記録を1年単位でまとめたものです。
これを1年ではなく1ヵ月単位で記録したものが「試算表」と呼ばれるものです。
よりタイムリーな情報がほしい場合はこちらを活用します。

(2) 決算書(または試算表)でチェックすべきポイントとは?

それでは、この決算書(または試算表)をどのように読み解き、どう経営に活かしていけばよいのでしょうか?

基本的には、数字のチェックは「比較」で行います。
それは、「過去の数字」と「基準値」との比較です。

過去の数字と比べて異常値が出ていないかどうか、そして基準値と比べて異常な数字になっていないかを把握できれば、数字を経営判断に活かすことが可能となるのです。

決算書や試算表は、院長先生にとって非常に取っつきにくいものであると思います。
しかし、決算書はすべて理解する必要はなく、重要なポイントだけを理解できれば、十分経営に役立つツールになります。
つまり、2割の重要なポイントを理解できれば、決算書の8割は理解できる、いわゆる「2割8割」の法則ですね。

今回は、その2割の重要なポイントを3つお伝えいたします。

1.売上高は昨年に比べて増えているか?

歯科医院の場合、毎月新患がしっかりと確保できていて、メインテナンスの患者さんが増えていくシステムができていれば、売上は毎年増えていきます。

メインテナンスが増えていくために必要な新患数は、月に最低30~40人ぐらいでしょうか。
逆に、月に新患数が40人くらいきているのに売上が増えていかないのであれば、メインテナンスのシステムの見直しが必要になってくると思います(ただし、チェアの数により、受入れできる患者さんのキャパがありますので、最終的にはチェアを入れないとこれ以上売上が増えないという限界点があります)。

売上の増減は、毎年ではなく、毎月試算表で昨年対比を調べておくのがよいでしょう。

2.変動費は昨年対比、基準値に比べて高すぎないか?

以前のメルマガでもお伝えしたとおり、変動費とは、売上が増えるとそれに伴って増えていく経費のことです。
歯科医院の場合は、「材料代」と「技工代」がこれに該当します(この変動費は決算書上、「売上原価」となっていることも多いはずです)。

変動費は売上に占める割合(=変動費率)で判断します。
まず、この変動費率が昨年に比べて増えていないかをチェックします。

また、歯科医院の変動費率の基準値は約20%です。
過去の数字と比較した後、この基準値とも比較してみてください。

もし昨年度よりも大幅に増えていたり、基準値よりも高すぎたりすれば、まずは材料代と技工代のどちらが増えているのかをチェックしてみてください。

その後、その原因をチェックする必要が出てきます。
ムダな在庫が増えていないかどうか、材料のムダづかいはないかどうか、価格の比較検討などは行ったかどうか、自費のプライシングは適正かどうか……などいろいろなことが考えられると思います。

3.人件費率は適正かどうか?

歯科医院で一番重要な指標が、実はこの「人件費率」なのです。
人件費は、金額ではなく売上に占める割合(=人件費率)でチェックします。
なぜなら、売上が増えればそれに見合う人材の数が必要になるからです(こういった意味からみると人件費も「変動費」の要素を持っていますが、一般的に人件費は「固定費」に分類されることが多いと思います)。

まず、昨年度に比べて人件費率が高くなりすぎていないかをチェックします。
また、歯科医院の人件費率の基準値は、個人の診療所で約20%、医療法人であれば約28%です。

人件費率が昨年に比べて異常に増えていたり、基準値とかけ離れていたりした場合には、現在の人員構成での適正な売上が上がっていないことが考えられます。

ただ、基準値を超えているから絶対にダメというわけではなく、新人のドクターを雇用したり、先行投資で人を雇ったりした場合などには、人件費率は増えてしまいますが、逆にこれをしないと医院は発展しません。

このように、決算書を読み解く上で重要なのは、すべてを理解する能力ではなく、「重要な2割」を発見するスキルと、それを「比較」するスキル、そして、そこから問題点を見つけ出すセンスなのです。

今回のメルマガをもっと深掘りしたい先生は、拙著『利益を出す経営の極意』『あなたの歯科医院を90日で成功させる」(ともにクインテッセンス出版)などをご参考にしてみてください。 ⇒ http://tinyurl.com/2rqdyt

税理士法人キャスダック
代表税理士 山下剛史
⇒ http://www.dentalkaikei.com