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捕食と咀嚼 その【6】

2014年10月04日

まず最初に、顎咬合学会の公開動画を見ていただきたい。

「噛むことと生きること(小児編)」
(以下の画像をクリックすると外部ページへリンクします)
図1
okazaki_20141006_01

口唇で上手に捕食できない健常児。

その理由は、離乳食を口の中に入れて与えていたためだろう。

捕食をさせなかったことが上口唇の動かない原因だ。

上口唇が伸びないと、どんな問題がでてくるだろう?

少し実験をしていただきたい。

今コップの水を飲むとする。

まずコップを下口唇につける。

その後、上口唇をどうするだろう?

前に伸ばしてコップの水面に触れる。

そして上下の口唇のわずかな隙間から、水をすすろうとする。

さらにその水を塊にまとめて、喉に送り嚥下する。

でも上口唇が動かないと、どうなるだろうか?

水を飲むためには、コップを傾けねばならない。

それに伴って、顔も上に向けなければならない。

そして、水を流し込むような飲み方になる。
図2
okazaki_20141006_02

しかも、口唇は取り込む量も調整している。

口が開いたままだと、一気に多量の水が流れ込む。

水を塊にまとめることができずムセてしまう。

そこで飲むためには、微妙な呼吸調整も必要となる。

上口唇が伸びないと水をすすれないことがわかる。

これでは、お茶やコーヒーを飲むにも苦労する。

味噌汁だってそうだ。

鍋焼きうどんも食べにくい。

汁が熱ければ、口の中を火傷することだろう?
図3
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ソバだってすすりにくい。

口唇は、かくも重要な役割を果たしている。

離乳食を捕食させること、かくも大きく摂食機能に影響する。

前 岡山大学病院 小児歯科 講師
モンゴル健康科学大学(旧:モンゴル医科大学) 客員教授
歯のふしぎ博物館 館長(Web博物館)
岡崎 好秀
⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/