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歯科医院にお金を残す6つのノウハウ【1】「なぜかお金が残らない!」と嘆く歯科医院の共通点

2014年10月03日

こんにちは、税理士法人キャスダックの山下です。

弊社は今年9月、個人事業の「デンタルクリニック会計事務所」から、税理士法人に組織変更をいたしました。
社名の「キャスダック」の由来は、弊社のミッションでもある「キャッシュ最大化」の頭文字を取ったもので、キャッシュとウィッシュ、物心両面の幸せを最大化したいという想いから名づけました。

「なぜかお金が残らない」と嘆く歯科医院には、5つの共通点があります。
第1回は、先生にも当てはまる点がないか、チェックしながら読みすすめてください。

【お金が残らない理由その1】売上と人件費のバランスが悪い

歯科医院におけるもっとも大きな支払いの1つ、それは人件費です。
お金を残すためには、まず人件費のチェックが必要です。
人件費のチェックには、「人件費率」と「基準値」を使います。
人件費率とは、人件費の売上高に対する比率で、「人件費率=人件費÷売上高」です。
この場合の人件費には、役員報酬、専従者給与などは含めないで計算します。
基準値とは、ある項目の適切な数値のことです。
歯科医院の人件費率の基準値は、個人で約20%、法人で約28%です。
ただ、基準値を少しくらいならオーバーしても大丈夫です。
積極的な人への投資も必要だからです。
問題は、個人で24%以上、法人で33%以上の先生です。
この場合、お金が残りにくくなっています。
さらに、個人で30%以上、法人で40%以上の先生は、すでに、ほとんどお金が残ってこない状態かと思います。
人件費率を下げるには、人件費を減らすか売上を増やすかですが、簡単に人件費を下げられないことを考えると、売上を上げるしかありません。

【お金が残らない理由その2】「事業主貸」の中身をチェックできていない

スタッフの人件費の次は、先生自身について考えましょう。
ここは、個人医院の先生と、医療法人の先生に分けてお伝えします。

まずは、個人の場合です。
会計事務所からくる試算表に「事業主貸」という項目があります。
簡単にいえば、先生の「個人的な支払い」を集めたものです。
この事業主貸をチェックする必要があります。

そこに含まれる(1)生活費、(2)生命保険、(3)所得税・住民税などの税金……について、具体的に見ていきましょう。
生活費の基準値は、売上高の約10%~20%です。
これは、医院の開業間もない時期と、安定してきた時期とでは、違いがあります。
具体的にいくら取れるかを知るには、医院のお金の流れを全体的に把握する必要があります。
これについては、第3回でお伝えします。

次の生命保険ですが、私の経験上、多くの先生が、加入後、見直しをすることなく、ムダな生命保険に加入し続けていることがほとんどです。
もちろん、加入当初は、ベストな保険だったかもしれませんが、先生のライフステージは変化していきますので、それに応じて見直しが必要なので、ぜひ一度加入している保険をチェックしてみてください。

歯科医院における一番大きな支払い、それは(3)の「税金」です。
実は、平成27年1月から所得税の最高税率が45%に引き上げられます。
これに住民税10%、さらに自費が多い先生は、事業税5%が加算され、合計は約60%。
もう、半分超が税金です。
これは所得4,000万円超の場合で、まれなケースですが、高所得者に対する負担は、ますます増えると考えられます。
このステージでは「医療法人成り」を検討する必要があります。
売上高8,000万円以上、利益2,500万円くらいなら、法人成りをすれば、大幅な節税なります。
該当する先生は、税理士さんにシミュレーションをお願いしてください。

【お金が残らない理由その3】役員報酬が高すぎる

次に、医療法人の先生のケースで、役員報酬の基準値は、売上の10%~20%に設定されている医療法人が多いようです。
ただし、節税のために、役員報酬をあえて多額に設定し、
医療法人にはあまり利益を残していないという先生も少なくありません。
しかし「法人税減税の流れがすすんでいること」「税制改正で給与所得控除も年々減っていくことが予想されること」などの税制の動向を読むと、今後は役員報酬を抑えて、医院の内部留保を増やし、あえて法人税を納めるほうがトータルの税金は少なくなってくると考えられます。
このあたりも、より詳細なシミュレーションが必要になります。

【お金が残らない理由その4】設備投資にお金を使わない

逆説的ですが、設備投資にお金を使っている先生は、そうでない先生よりお金が残っているケースが多いように思います。
必要な設備投資は、積極的に行いましょう。
そうすると、さらに大きなリターンが得られます。
とくにチェアは効率のいい投資です。
歯科医院の売上は、スタッフとチェアの数で決まるからです。
チェア1台の患者数の基準値は、1日8~10人です。
たとえば、チェアが3台で、1日の患者数が35人の場合のように、少しでも基準値を上回れば、4台目のチェアを検討しましょう。

【お金が残らない理由その5】返済と減価償却費のバランスが悪い

では、設備投資で気をつけたい点はなにか?
それは、返済と減価償却のバランスです。
チェアなどの高額な資産は、借入で購入されることが多いでしょう。
また、基本的に一定金額を超える資産は、それぞれの耐用年数によって「減価償却費」として経費にします。
ここで、返済と減価償却費がほぼ同じ金額だとバランスがよいです。
これは「返済は、支出を伴いますが、経費にならない。逆に、減価償却費は、支出を伴いませんが、経費になる」という関係があるためです
(この関係は、難しいですので結論だけ覚えていればOKです)。
借入期間と耐用年数が同じくらいであれば、この2つが近づきますので、借入時には、チェックしてみてください。

なお、今回のお話した歯科医院の基準値をもっと詳細に知りたい先生には『たった1日で歯科医院の数値分析の天才になれるノウハウ・パッケージ』(DVD)をおすすめします。
⇒ http://www.dentax.jp/mail_analysis_package/postmail.html

税理士法人キャスダック
代表税理士
山下 剛史
⇒ http://www.dentalkaikei.com