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伸びる歯科医院・伸びない歯科医院 ここが違う【6】伸びる歯科医院は採用強化に取り組んでいる

2014年04月03日

(1) 採用への姿勢が経営力の違いになる

伸びている歯科医院が、採用の重要性を認識して採用強化に取り組んでいるのに対して、伸びない歯科医院は、歯科衛生士や歯科医師の採用は難しいと、努力する前にあきらめているケースが多いようです。

歯科衛生士や歯科医師の採用に関しても、取り組み次第で結果は大きく改善するのですが、その姿勢自体に問題がある歯科医院が数多く存在します。

今回は、伸びる歯科医院と伸びない歯科医院の違いを「採用」に焦点をあてて考えていくことにします。

歯科医院の業績は、医院が培ってきた伝統や治療技術、それらによって醸成される知名度等のブランド力、マーケティング力や仕組み、そして、採用力に大きく影響を受けます。

ブランド力や仕組みづくりをすすめるためには、比較的長期の時間を要しますが、採用に関しては、短期間で向上させることは比較的簡単なことです。
この採用力の違いは、経営力の違いとなって現れます。

採用力を強化するには、応募者確保のためのプロモーションをしっかり行い、説明会や面接等で応募者を魅了するものが必要です。
応募者の絞り込みも重要です。

(2) 事前準備を徹底する

採用面接を、事前準備することなくすすめるようなことはありませんか。
採用に関しても、他の業務と同様に事前の準備は必須です。

採用開始までの前準備で、80%以上が決定するといっても過言ではありません。

応募者との初の顔合わせである面接では、医院側は応募者を選んでいると同時に選ばれているのです。
応募者が、この歯科医院に入職したいと思ってもらえるような魅了づけのためのスタッフとの顔合わせや、先輩との面談などの演出が必要になってきます。
それらの準備が必要なのです。

また、面接時に、次の質問を考えているうちに細かな言動を見落すことのないように、事前に質問項目を準備することも、的確な採用をすすめるためには重要なポイントです。

参考までに、中途入職希望者用の採用面接での質問項目例を記載します。

【前職の勤務態度等の状況を把握するための質問】
・就職活動の状況をお教えください。
・前職では、どれくらい有給休暇を消化されましたか
 (⇒仕事に対する価値観を確認します。休暇や給与等の条件面ばかり確認する人材は、長期的視点で勤務していないことが多いので要注意です)。

【価値観を確認するための質問】
・職場を選ぶ際の優先順位を高いほうから3つあげてください。
・これだけは、誰にも負けないという点をあげてください。
・ご自分のご両親についてどう思われますか(尊敬できる部分、そうでない部分)。
・あなたが、もっとも大切にしているもの(こと)は何ですか。
・今まで、一番、頑張ったことを話してください。
・あなたの今までの経験の中で、もっともうれしかったこと、悲しかったことをあげてください
 (⇒仕事をしていく上で、ストレスへの耐性を確認することも重要なポイントです。その際に、過去の経験を確認することも忘れずに行ってください)。

【応募者の活動状況を把握するための質問】
・当院のほかに面接をすすめている歯科医院は、何医院ありますか。
・当院に採用されたら、どれくらいの確率で入職されますか(第一志望なのかどうかを確認しながら、他の応募者の中で相対的に順位づけしていきます)。

(3) 採用活動は性悪説ですすめる

急に退職者が出て欠員状態が続くと、患者さんの満足度が低下するとともに、既存のスタッフにも疲弊感が出てくるために妥協した採用になりがちです。

しっかり練れていない段階で採用してしまうと、他のスタッフと問題を起こして退職したり、近隣から採用した場合に風評被害を受けたりと、あとで大きな損失につながるケースがあります。

そういう意味からも、採用は性悪説で対応することが基本です。
採用前に良いと思わなかった人材が入職後に良い方向に変わることはないと考え、割り切って採用活動にあたる必要があります。

“採用すべきでないタイプ”を明記しますので確認してください。

前職の退職理由が前向きではなく、前職の院長やスタッフのことを悪くいうようなタイプは、入職しても同じことを繰り返しがちです。
このようなタイプは、自分に矢印を向けて、主体的に改善していこうという考え方に乏しく、原因を自分以外に求める他者依存性が強いタイプであることが多いものです。

転職回数が3回以上だったり、空白期間のある人材も、採用しないほうがよいでしょう。

「そんなこと常識だよ」といわず、その常識的なことをいかに徹底できるかかが、伸びる歯科医院と伸びない歯科医院の差でもあるのです。

採用に関してもゴールを設定して、計画を立案、実践、評価、改善という流れを構築し、計画的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 株式会社デンタル・マーケティング
 代表取締役
  寳谷 光教
 ⇒ http://www.dental-m.co.jp