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もしも、スタッフが院長の立場に立ったなら・・・~スタッフの視点で、歯科医院のマネジメントを考える~【6】“ママさんスタッフ”が活躍できる院内の環境整備を!

2014年04月03日

スタッフの採用については、メルマガ連載の中でも取り上げたように、院長先生を悩ますタネとなっています。

中には「たった1人の歯科衛生士が、もし辞められたら…と考えると、夜も眠れない」という院長先生がおられるほどです。
ところが、一方でスタッフは「本当は仕事を続けたいが…」といいながらも、結婚や出産を機に退職してしまうのが圧倒的に多いのが実情です。
そんな悩みの間で「私が院長だったら、スタッフが長く安心して働けるような歯科医院にするけどな~」というスタッフの声が一番多いように思います。

(1) ワークライフバランスについて考えてみる

一般企業では、すでに定着している「ワークライフバランス」という言葉。その代表的な事例が、ソチオリンピックで旗手を務めたカーリング女子の小笠原歩選手や船山弓枝選手、フリースタイルスキー女子ハーフパイプの三星マナミ選手たちです。
育児と両立しながら競技を続けてきた“ママさん選手”の素晴らしい活躍は、心に残るドラマと感動がありました。
彼女たちの活躍は、これから結婚・出産を経た女性アスリートにとって大きな力となり、新たな環境を切り開く第一歩となったことと思います。

歯科業界ではどうでしょうか。
「“ワークライフバランス”ってなんだ?」とか「うちの医院には関係がない…」という業界特有の体質や風土が根強いかもしれません。
しかし一方で、子育てが励みになって仕事で力を発揮しているスタッフや、ワークライフバランスに配慮したさまざまな取り組みをしている歯科医院も確実に増えてきています。

(2)“ママさんスタッフ”の活躍の裏には

現在、ママさんスタッフが戦力となって活躍している医院では、“ママになっても仕事を続ける”という医院のスタイルを築きあげるまでに、「試行錯誤の連続で苦労も多かった」と、スタッフと院長先生が話してくれました。

きっかけは、患者さんの「○○さんが、生涯お口の健康管理をしてくれると約束してくれたから、頑張ってきたのよ。赤ちゃんが生まれてからも仕事を続けてね」というひと言。
歯科衛生士に“このまま仕事を続けよう”と決意させてくれた原動力になったそうです。

ところが、医院には「就業規則」などが整備されていない上に、「法律を盾に権利を要求されるのではないだろうか…」「他のスタッフから不満が出ないだろうか…」という不安があった院長。
基本的な規定づくり、スタッフのシフト変更、時短勤務制度等など、医院の就労環境を整備するまでには、院長とスタッフが衝突する場面もあったそうです。

大きな支えとなったのは、他のスタッフの応援です。
私たちも「ずっと仕事を続けたい!」ということで“スタッフ1人のプライベートな問題”ではなく、“医院全体のこと”としてとらえたことが、スタッフ全員の協力を得ることになり、医院全体をうまく巻き込むことができ、長期の休暇後の職場復帰のサポート環境もできたということです。

そして、この医院の一番大きな変化は、常に全員が「時間」「効率」を意識する行動になったことです。
それまでの“のんびりムード”から、「残業はしない」「時間内に終わらせる」という習慣が定着し、医院の雰囲気が引き締まったようです。

診療業務でも同じ。
常に「タイム・マネジメント」を意識することで、「患者さんを待たせない」「予約時間のとおりに患者さんを通す」「カルテ入力・会計まで予定時間内に終わらせる」ことが当たり前になったという大きな成果も生まれました。

次に、歯科医院で働く“ママさんスタッフ”に対する私の考察をまとめてみました。

★とにかく行動が早い!ことに驚かされます。

毎日の生活の中で、時間という制約があるからこそ、必然的に効率よく作業をすすめられるように、常に頭の中でシミュレートし、仕事の優先順位を判断し、優先順位の高いものから、確実にこなしています。
ですから、仕事をきっちり完結することができている優秀なスタッフが多いと思います。

★患者さんとのかかわりでは、対応力に幅や余裕を感じます。

家庭・出産・子育てというさまざまな経験を活かして、人間力がアップしています。
患者さんの話をよく聞く、患者さんの年齢やタイプに応じた話し方が自然体でできる、会話が増える、患者対応全般がそつなく余裕さえ感じさせられます。
育休明けのスタッフが「患者対応で、今まで見えなかったことが、急に見えてきた」といっていることは、まさにこの瞬間だと思います。

★周囲(他のスタッフ)の協力が不可欠です。

やってもらって当たり前という気持ちが少しでもあると、院内の人間関係や、コミュニケーションがうまくいきません。
感謝の気持ちを忘れず、常に(周囲から)「サポートされている」という意識で行動しています。

仕事は、自分1人で完璧に成し遂げることはできません。
他のスタッフには「最小限のことだけをお願いする…」というスタンスでいるから、周囲の協力を得られているようにも思えます。
NGワードは、「疲れた」「大変」とか「(私は)頑張っている」を連発してしまうこと。
あまり度が過ぎてしまえば、「私だって、疲れているのよ」という反発を生んでしまうことにもなります。

院長先生にとって、スタッフが長く働くことでは、どんな価値になるのでしょうか。

患者さんの安心・信頼を得ること、優秀な人材をそのまま確保できることで、医院のマネジメントで大きな財産になるのです。
スタッフが長く働きやすいように、院内の環境整備を積極的に行うことは、「人材戦略」の1つとして、前向きにとらえ、次への準備を早期にすべきと思います。

スタッフが「一生この医院で働きたい!」といえる医院を目指して、スタッフ・院長先生、全員でディスカッションすることから、さあ始めてみませんか?

 株式会社ディネット取締役
 品質マネジメントシステム審査員
  三浦 綾子 
 ⇒ http://www.dnet-inc.com