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もしも、スタッフが院長の立場に立ったなら・・・~スタッフの視点で、歯科医院のマネジメントを考える~【5】目標設定のコツと目標達成計画を「見える化」する

2014年03月13日

歯科医院で目標を設定するとき、実はスタッフに事前の相談なく、院長の判断だけで決められていることが多いように思います。
その場合は、とくに何もいわないスタッフですが、「院長に、目標を押し付けられた」「こんな目標値、絶対に無理!」と、後に不満が出てくることがあります。

歯科医院のマネジメントで、目標設定にあたっては、スタッフが十分に納得していれば、スタッフ1人ひとりが自分の役割に真剣に向き合い、責任をもって取り組むようになります。

今回は、スタッフ視点から「目標設定」について、上手に運用し、医院の実績向上とスタッフの成長につなげることを考えていくことにします。

(1) 医院の目標設定には、スタッフの納得感が重要

以前、ある歯科医院で、新年度の新卒スタッフを迎え入れるにあたり、スタッフの役割分担、ルールなど見直しをしていたときのことです。

今までも医院全体の目標や診療指針があったのですが、これを機会に、院長が医院の理念、行動指針、目標、目標数値(売上や患者数など)を設定したところ、スタッフから猛反発があり、一時は、スタッフが退職してしまうのでは……という危機的状況があったほどです。

院長は、経営的にも、スタッフにとっても、良かれと思って目標設定したのですが、その目標が持つ意味をスタッフが納得していない状態で、次の行動をしてしまい、院長に対する不信を招くという逆効果になってしまったことがありました。

失敗の原因は、目標設定の背景を伝えていなかった→スタッフには「押し付けられた感」しかなかったということです。

目標設定をするには、ステップがあり、「スタッフと一緒に考え設定する」「スタッフの納得を得る」というステップは、絶対にはずしてはならないのです。

目標設定の背景には、必ず“院長の想い”があるはずです。
「目標は〇〇〇に決めた」「次の行動へ!」と急ぐことよりも、目標を設定するために十分な時間をかけることが必要です。
目標設定のねらい・背景・想いを伝え、スタッフと一緒に、現状を把握し、分析をすること。
その中で、スタッフが現状と向き合う時間を持つこともできます。

そして、スタッフの納得を得て、「よし、頑張ろう!」というモチベーションが生まれ、スタッフが「頑張れる目標」を自ら宣言することができるのです。
つまり、スタッフが納得していない=押し付けられた目標は、目標本来が持つ「達成させる!」という機能を果たすことにはつながらないのです。

★ポイント:目標の設定には、スタッフの納得感+モチベーション向上が重要

では、具体的にどのような目標がよいのでしょうか?

目標を設定する際には、医院の現状・経営実績、スタッフの力量、患者さんニーズの変化、医院を取り巻く状況、リスクなどを考慮する必要があります。
あまりにも簡単にクリアできる目標では、スタッフの成長速度を落とすことにもなってしまいます。
とはいえ、どんなに頑張っても届かない、無謀な目標は、スタッフのパフォーマンスを下げ、院長への不信感を生むものです。

「頑張って、達成する」「工夫をすることで、確実にクリアする」というくらい現実的に取り組める目標を設定することが理想的だと思います。

(2) 目標達成計画は「見える化」する

目標が持つ意味と、スタッフがどのような役割を担い、目標を達成させるという責任感をスタッフが自覚することによって、目標を具体化させていくことができます。

目標を具体化させることにより、「なぜ、その仕事をするのか」「今やっていることは、結果としてどうつながっているのか」と、日々意識することができ、医院全体でどのような成果を生み出すべきなのかを共有し、全体の方向性を合わせることができます。

目標を設定するだけでなく、次にそれをどのように実現するか、目標を達成させるために、具体的なプランに落とし込みます。
次のポイントを、院内ミーティングで協議するのがよいでしょう。

★ポイント:目標のゴールと結果判定方法を決める

「目標」に対するその到達点(ゴール)を事前に設定し、結果の判定の方法を決めます。
目標達成を測るための「指標」や「基準」を設定し、到達したか否かを客観的に評価することが、一番わかりやすいと思います。
しかし、テーマによっては、必ずしも数値化した「指標」を設定することができない場合があります。
このようなときは、結果判定ができるように、「どのような状態になっていれば、ゴールに到達したといえるのか」を具体的に協議し、全員が合意しておく必要があります。

★ポイント:目標達成に絶対必要な期日を決める
★ポイント:現状分析を実施し、目標達成に何が問題か、何が不足しているか洗い出す
★ポイント:必要な資源【ヒト(教育)、モノ(インフラ・設備)、カネ(予算)】は何か、具体的な施策を月間、週間などの時間軸をもってプランニングを行う
★ポイント:「目標達成計画書」「スケジュール表」に記録して、スタッフ全員が見えるようにする

運用をしていくにあたっては、ゴールに到達するまでの途中評価において、目標設定時の「目標達成計画書」「スケジュール表」の計画どおりの効果が得られなければ、プランの変更や追加をしていきます。

いずれにしても、目標を設定し運用していくことは、スタッフ個人ならび医院全体の取り組みをより高いところに引き上げることにつながります。それぞれの医院の目指すビジョン、戦略や風土に応じて、工夫してみてはいかがでしょうか。

 株式会社ディネット取締役
 品質マネジメントシステム審査員
  三浦 綾子 
 ⇒ http://www.dnet-inc.com