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もしも、スタッフが院長の立場に立ったなら・・・~スタッフの視点で、歯科医院のマネジメントを考える~【3】“患者さん視点”に立つと見えないものが見えてくる

2014年02月13日

以前、スタッフ向けセミナーの中で、「歯科医院経営に重要なことは、“患者さん視点”を持つこと」と話したら、セミナーの最後に、スタッフの方から「“経営”という言葉を聞いた途端、条件反射的に“自分には関係ないこと”と思っていましたが、患者さん視点を持つこと、その結果に業績の向上があり、それを“経営”ととらえると、自分たちも経営に参加しているという気持ちになります!」といわれたことが印象に残っています。

「患者さんは、こう思っているのではないだろうか?」――このスタッフの気づきこそが、医院のマネジメントの改善につながります。
そこで、今回は、「患者さんの視点」について考えていきます。

(1) “患者さんニーズ”を意識する

社会情勢の変化とともに、患者さんのニーズも大きく変化しています。

今、40代半ばになる先生は「自分が卒業して、郊外の駅前の歯科医院に勤務したばかりの頃、自費や保険の違いについて、治療説明をしなくても、患者さんから“白くてキレイな歯にしてほしい”と自費の契約がとれた」といっています。

数年前のいわゆる“インプラント・バブル”といわれる頃は「インプラントにする必要もない患者さんから、“インプラントにしてください……”といわれ、さすがに、それには困りましたが……」といい、「今は、大変ですよ。マスコミの報道もあって、かなり慎重になっていますね。“インプラント”というだけで、患者さんから冷ややかな目を向けられます」といっています。

患者さんのニーズは、日々変化しています。
自分たちの視点で物事をとらえていると、いつの間にか周囲の変化に取り残されてしまうことがあります。
それでは、患者さんのニーズに「ずれている」「応えられない」ということになってしまい、患者さんが医院から離れてしまうという結果になります。
社会情勢、患者さんのニーズが変化すれば、その変化に応じて、これまでの診療スタイル、やり方を見直すことが必要になってきます。

(2) 常に「患者さん視点」で検証する

歯科医院経営で、院長先生を悩ますこと、たとえば「患者数が減った」「自費が伸びない」「キャンセルが多い」など、たとえ業績が悪くなくても、医院に訪問をすると必ず耳にすることです。

これらは「売上、レセプト枚数、延べ患者数、自費率、キャンセル数/率……」など、経営指標として検証されているものです。
ここで必ず見ておきたいことは、単に結果としての数値や状況を確認するだけでなく、患者さんの視点に立って、医院の活動(日々の治療やサービス、スタッフ 1人ひとりの仕事)が、患者さんのニーズや期待に応えられていたかどうかを見直すことではないでしょうか。

「キャンセル数/率」を取り上げてみましょう。
なお、寳谷先生の連載では、今回、具体的にキャンセル対策を紹介しておりますので、併せてお読みください。

「○○さんは、無断キャンセルの常習者」など、院内の会話を聞くことがあります。
当然、医院からすれば “無断キャンセル=好ましくない患者さん”と定義されるでしょう。
なかには「何度も無断キャンセルをするから、もうこなくてもいいですよ!」と、強気な対応をしている医院もあります。

ところが、患者さんが無断キャンセルになるその背景、本当の理由は何か――“患者さん視点”で理由を探ってみると、患者さんの問題(理由)だけでなく、実は「当院に問題がある(あった)」ということが珍しくありません。

たとえば「ドクターやスタッフの対応が感じ悪い」「自費を無理やり押し付けられた」「治療説明がわからなかった」「やってほしいことをやってくれない」「いつも待たされる」「診療時間内に終わらない」「医院が汚い(清潔感がない)」「他の患者さんが気になる」「会話を他の患者さんに聞かれたくない」など、理由は一つではなく、複合されている場合や、医院のシステム(体制・ルール)そのものに問題があるという場合も多いように思います。

ここで、患者さん1人ひとりの無断キャンセルの理由を徹底的に検証し、医院の問題がはっきりと浮かび上がったものから、順に改善策を立てていきます。

「夕方はキャンセルが多い」→「仕事帰りの人、学校の部活で忙しい人が多いことでキャンセルされる」→「患者さん都合のため、仕方ない」としていたのが、患者さんから「いつも待たされる……」「スタッフの感じが悪い……」という不満を、受付でいわれたことがありました。

→医院の夕方の時間帯の状況は「スタッフの人材不足」「パートやアルバイトの非常勤が多く、教育が徹底されていない」という根本的な問題があることがわかりました。

→そのため「患者さん対応が雑(感じが悪い・横柄・説明不足など)になる」「患者さんを待たせる(時間内に終わらない、時間が押してしまう)」という悪循環があり、不信感や不満が鬱積していたのです。

→その解決として、「非常勤スタッフの再教育」「シフトの組み直し」→「スタッフの増員が必要か検討」という改善策を立てました。

このように、患者さんの真の理由や背景を考えることにより、本質的な解決へと結びつきます。

(3) 問題解決は上手な院内ミーティングから

冒頭で申し上げたように、スタッフが患者さん対応の中で「気づくこと」「意識すること」が歯科医院のマネジメントに大きく影響しているのです。

院内ミーティングでは、スタッフが自主的に発言できる環境が必要です。
おそらく「自由に意見を出してください」といっても、そう簡単には、自由に意見を出し合うことができないものです。
意見を出し合うためには、

・「他人の意見を批判しない」→批判があると発言そのものが出にくくなってしまいます。
・「必ず発言する」→「とくにありません」「前の人と同じです」はNG。
・ミーティングは、進行役+記録係が責任者となる→院長は進行しない、発言しない(場合によっては、参加しない)

などミーティングの基本ルールを作るとよいでしょう。

とりわけ、力の強いスタッフの意見を先に出されると、次のスタッフはなかなかいえなかったり、若いスタッフや在籍年数が短いスタッフの場合、周囲の目を気にして、発言しにくいものです。

そのような場合、意見の出し方としては「発言カード」(メモ用紙のようなもの)に必ず1つ以上の意見を簡潔に書くという方法が有効です。
そのカードを進行役が読み上げるようにするとか、順番がまわってきたら、スタッフ自身が読み上げるなど、やり方を工夫することで、自由な意見やアイデアを出し合い、問題解決の道筋を明らかにしていくことができるようになります。

何度か実施していくうちに、自院にあったスタイルが出来上がりますので、一度ためしてみてはいかがでしょうか。

 株式会社ディネット取締役
 品質マネジメントシステム審査員
  三浦 綾子 
 ⇒ http://www.dnet-inc.com