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乳歯の根管治療の勘どころ その2:乳歯と永久歯の根尖周囲組織の比較

2009年12月07日

乳歯の根尖性歯周組織炎は、歯肉膿瘍や瘻孔ができやすい。

 

(図1)
歯肉膿瘍や瘻孔

 

そこでJを貼薬し開放したが、いつまでたっても引かない。

そんな経験をしたことはないだろうか。

どうして引かないのだろう?

さて「子どもは、大人の小型ではない。」という言葉がある。

そこで、乳歯と永久歯の根尖周囲組織の差から考える必要がありそうだ。

まず永久歯の歯槽骨は、緻密骨で厚い。

根尖部に炎症があれば、その圧が厚い骨を突き破ろうとする。

当然、激しい疼痛を伴う。

応急処置として、まずリーマーなどで根尖部を穿孔し排膿させる。

そして本格的な根管治療に移る。

一方、乳歯の歯槽骨は薄く多孔性である。

このことは、軽い炎症でも容易に膿瘍や瘻孔ができやすいことを意味する。

・・・だとしたら

永久歯と同じように開放する意味がどこまであるのだろう。

自壊した小さな膿瘍や瘻孔なら、むしろ根管内の感染源の消毒を優先させた方が良いのではないか?

こんなことを考え慢性化した症例では、軟化牙質を完全に除去後、FCの小綿球を貼付しきっちりと仮封をしている。

これで多くの膿瘍や瘻孔は消失する。

もちろん、炎症の強い場合は別である。

続けて本格的な根管治療に移る。

ところで・・・・・だ。

乳歯の根管を拡大したら急性症状が発現したという経験はないだろうか?

症状のないケースであれば、保護者との信頼関係も失うだろう。

このようなケース、案外多い。

どうしてだろう?

ここでも「子どもは大人の小型ではない。」の言葉から解決策を考える。

続く・・・・・。

 

仮封時の注意:

乳臼歯では貼薬の綿栓が大きすぎると、仮封剤の脱離の原因となる。

乳歯は歯冠長が短く仮封剤が脱落し易い。

そのため水硬性セメントなど脱落し易い仮封剤は避ける。

いたずらに治療期間を延ばすことが多い。

 

>>岡崎先生のホームペ-ジ
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