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究極の痛くない麻酔 その1

2009年08月03日

口コミには、起こりやすい業界と起こりにくい業界があるそうだ。

それは“1.誰とでも話題にできるかどうか?”、

そして“2.複数人で利用できるかどうか?”

という二つのものさしで規定されると言う。

 

(図1)
口コミ・ポジショニング分析

 

例えばレストランやホテル、それに映画は口コミが起こりやすい業界である。

あの店は美味しかった!あの映画は面白かった!ということは、すぐに評判になる。

これは誰とでも共通の話題になるからだ。

一方、美容整形や葬儀屋は、どれだけ良くても評判にならない。

「あそこの美容整形が、親切で安くて良かった!」なんて聞いたことがない。

それでは歯科医院は、どちらだろうか?

もちろん前者に含まれる。

さ“業界”を“歯科処置”に置き換えると、
口コミが“起こりやすい”と“起こりにくい”処置があることがわかる。

 

(図2)
口コミ・ポジショニング分析

 

前者は、“痛くない治療”や“小児の治療”など“短時間で予後がわかる”もの。

また医院の“雰囲気”も含まれることだろう。

一方、後者は“簡単な充填”など歯科医院間で差が起こりにくいもの。

あるいは、“根管充填”など長時間経たないと予後がわからないものである。

もちろん、時間が経過しないと予後がわからない処置をおろそかにしても良い訳はない。

しかし痛みの有無が口コミになりやすいことは、再認識しておく必要があるだろう。

 

(図3)

(図4)

(図5)

ところで、痛くない治療というと、まず麻酔を思い浮かべる。

小児の処置では上手く麻酔を打てたら、半分くらい終わったようなものである。

“痛くない麻酔”を打つ方法は、

1.細い注射針を使う。

2.痛点の少ない部位に刺入する。

3.ゆっくりと刺入し強圧をかけない。

4.麻酔液を体温付近まで温める。

などが書かれている。

 

(図6)
痛くない麻酔をうつ方法

 

しかしこれらが疎かになるため、“痛みを取り除く麻酔注射が、最も痛かった”という現状がある。

そこで、筆者は痛くない麻酔を打つために次のように教えている。

大学では、臨床実習に入る前のポリクリがある。

ここでは同級生を相手に、麻酔の相互実習を行う。

生まれて始めて麻酔を打つのだから誰もが緊張する場面である。

さて始めて麻酔を打ち終えた後、学生に次のように質問する。

「今日、君たちは始めて麻酔を打った。その麻酔を打った、あるいは打たれた瞬間、どのような音がしたか順番に言って下さい。」

「物理的な音のみならず、心で感じた音を擬音語・擬態語で表現してください・・・・。」

ところで、先生方が打たれる麻酔は、どのような音をしているだろうか?

 

(図7)

 

続く

*「口コミ伝染病」 神田昌典著 フォレスト出版

 

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