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知ってトクする“節税”の知恵【1】利益が出たらまず「小規模企業共済」を

2009年07月06日

こんにちは。デンタルクリニック会計事務所の山下です。
今回から6回に渡って、今すぐキャッシュを最大化できる節税ノウハウをレクチャーしていきたいと思います。

第1回目の節税ノウハウは「所得控除」です。

 

●所得控除とは?

「所得控除」とは、読んで字のごとく、「所得から控除できる」という規定です。

所得とは利益のことですから、利益から控除されるものがあれば、その分、税金が減るというわけですね。

所得控除には、有名なものに「生命保険料控除」や「医療費控除」などがあります。

個人で生命保険を支払った場合や、年間で10万円以上の医療費を支払った場合には、一定の金額を所得から控除してもらえます。

この所得控除は、この他にもいろいろあるのですが、節税効果が高いのにあまり知られていないものがあります。

それは「小規模企業共済」と呼ばれるものです。

 

●小規模企業共済とは?

「小規模企業共済」とは、個人事業主(院長本人)のための退職金制度で、掛け金は最低千円から最高7万円(年間84万円)できますが、この掛け金全額を個人の所得から控除できます。

積み立てた掛け金は、中小機構と呼ばれる機関が所定の利率で運用し、医院の廃業や解散の際に退職金として支払われます。

 

●どれだけ節税になるのか?

それでは、実際に数字を使って考えてみましょう。

支払った掛け金が全額所得控除として所得から控除されるわけです。

たとえば、所得が3,000万円で、小規模企業共済掛金70,000円を12ヵ月分支払った場合、70,000×12=840,000円となります。

この金額が全額所得から控除されます。

所得が3,000万円の時の個人の税率(所得税+住民税)は、約50%ですので、納税額は、
(3,000万円-840,000円)×50%=14,580,000円となります(実際はもっと複雑な計算式で、納税額はこの金額よりももっと少なくなりますが、わかりづらくなるため、そこまでは触れません)。

これに対して、掛け金を支払っていなければ3,000万円×50%=1,500万円が税金となりますので、差額の420,000円が節税になったわけです。

つまり、1万円支払って、将来同額の1万円しか返ってこなかった場合でも、支払った時に50%が節税になっていますので、5千円支払って1万円戻ってきた計算になるわけです。

小規模企業共済に加入すれば、毎月無理のない範囲で定期的に積立ができ、計画的な老後の退職金積立が可能となります。

利回りはそれほど期待できませんが、節税効果を含めた利回りは非常に高いので、ほとんど金利のつかない銀行にお金を眠らせておくよりは、よっぽど価値があると思います。

ただし、この小規模企業共済は、個人の退職金のための積立なので、それ以外の用途で中途解約した場合には、元本を割れることがあります。

中小機構のホームページで加入シミュレーションをすることができますので、まだ加入いただいていない先生は、ぜひご検討いただければと思います。

http://www.smrj.go.jp/skyosai/

【チェックポイント】
確定申告書の課税所得の金額(申告書第1表の26)がプラスになっていて、小規模企業共済に加入していない場合、ぜひ検討をしてみてはいかがでしょうか?