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泣きの予防

2008年10月06日

小児の歯科診療において泣かれるとたいへんです。
患児だけがたいへんなのではなく、私達にとってもたいへんです。
私達まで泣きたくなります。

 

(図1)

 

さて“予防”というと、まず“齲蝕予防”や“歯周病予防”を思い浮かべますが、“泣きの予防”も予防の一つです。
泣きの予防をすることは、診療を楽にするばかりではありまあせん。
信頼関係が築かれ、成人しても来院してくれる患者さんとなります。
これは、“患者数減少”に対する予防にもなります。
さて齲蝕には“原因”があり、その“結果”として発症するのですから、“処置”のみに目を向けたても、本質的な解決策につながりません。
同じように、泣きについても、その原因を探り整理し、それぞれの対処法(予防)について考えておくことが重要です。

実際、一度泣き始めると、それを止めることは至難の業です。
だから、泣くか泣かないかギリギリの子を、“どのようにすれば泣かせないですませることができるか?”を日頃から考えておく必要があります。
さて治療中、大泣きしている時に、こんな言葉がけをすれば、ピタリと泣きやむ魔法の言葉はありません。
泣いてからあわてるより、まず泣くか、泣かないかギリギリのレベルにいる患児を、どうしたら泣かせずにすむか?という方法を考える方が得策です。
例えば、チェアー上で不用意にライトをつけ、まぶしければ驚いて泣く可能性があります。
だとすればライトは常にお腹に向けてつけ、その後に口の方を照らす習慣をつけます。
こうすると、泣かない可能性が増えます。それでも泣くかもしれません。
でも、このような工夫は1つ1点だとしたら10個あつまれば10点になります。このようなポケットをたくさんつくることが大切です。
もっと具体的な例をあげてみましょう。

診療室に、今にも泣きそうな幼稚園児が、母親に抱きついて入ってきました。

 

(図2)

 

それを無理に引き離そうとすると、ますます強く抱きつきます。
さらに力ずくで離そうとしたら、泣いて暴れて診療になりません。
ここで、どのようにしたら患児が自らチェアーに上がってくれるでしょうか?
ちょっと考えてみてください。

私は“今日は、まずお母さんに歯を磨いてもらおう!”と言います。
こうすると、患児は安心してチェアーに上がります。
同時に母親にはドクターの椅子に座って、磨いていただきます。

 

(図3)

しばらく磨いていただいたら、“サア~ きれいになっているかどうか見せて!”と言って母親と交代します。
そして歯を磨きながら検診を行うのです。
このようにしたら、スムーズな診療が可能です。
これが泣きの予防なのです。
患児が、いつの間にかチェアーに上がってくれるように誘導するのです。
是非、今日から試みてください。

 

>>岡崎先生のホームペ-ジ
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