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口呼吸がなぜ増えるのか? その3 前歯を使おう

2008年04月04日

これまで、口をポカ~ンと開く子どもが増えた理由として、アレルギー性鼻炎の増加や、硬いものを噛むことが減ったことについて述べた。

この他にも理由が考えられる。それは、前歯を使わない食生活が増えたことだと思っている。ヒトに前歯と臼歯があるのは、前歯で食物を切り、臼歯で咀嚼しなさいという意味である。ところが前歯を使わない食生活が増えている。

さてモンゴルの遊牧民は、前歯の被蓋の浅い者が多い。

 

(図1)
モンゴル遊牧民の前歯

(図2)
モンゴル人の食事風景

 

当初、その理由がわからなかったが、食生活を見て気がついた。彼らは、羊の骨付き肉を前歯で引きちぎって食べている。そのために、被蓋が浅くなる。
また、口輪筋にも力を加える必要がある。そう!前歯は、包丁の代わりの歯なのである。

ところが、現在の食生活は食べやすいように小さく切られている。幼稚園のお弁当をのぞいても、一口ウインナーやオニギリなど、前歯で引きちぎる食べ物がない。サンドイッチも、パンにミミはない。ミミがあれば、引きちぎらなければ食べることができない。またリンゴの丸かじりのためには、大きな口をあけ、前歯でかじりつく。咬み切る時には、前歯や口腔周囲筋にも力をかける。
こんな単純なことが、顔面表情筋の発達を促してきたのだ。

ところで多くの障害児は、常に口が開いている。口唇の力が弱いために、口を閉じることができないのだ。これでは噛めないし、上手に嚥下することもできない。そこで食べる訓練では、口唇や前歯で捕食させるように与える。こうすると、口唇を伸ばすようになり、口唇閉鎖が容易になる。

 

(図3)
幼児の食事風景

 

同時に顔の表情が豊かになり、保護者から喜ばれる。大きな口をあけて、前歯で引きちぎる食生活を見直す時期に来ているのだ。

 

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