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○○ちゃんは,いつ見てもかわいいね・・・

2008年01月15日

学生時代、口腔外科の臨床実習で初診の問診をとっていた時のこと。口唇・口蓋裂の乳児を抱いた母親と姑が来院された。そこで姑が,開口一番、「うちの家系には、こんな子一人もいないのですがね・・・・。」と言われた。

何ということを言う姑だろう・・と唖然とした経験がある。きっと母親は、深く傷ついたに違いない。まさに針の上の筵(むしろ)にいる心境だったことだろう。

こんなことを平気で言う姑なら、父親にも言っているだろう。そう考えると、最愛の主人も信じられなくなる可能性がある。さらに自分の両親でさえも、可哀想なわが娘・・と思っているかもしれない。ちょっと回転が早い母親なら、そんなことが頭をよぎる。周り人からそう思われているかもしれない・・と思ったら、お腹を痛めた意味さえなくなってしまう。

以来、そのような保護者に対して、どのような“勇気づけ”の言葉をかけてあればよいのか、一医療従事者として、そんなこと考えてきた。さて現在、私の診ている子ども達は、圧倒的に障害を持っている子が多い。でも障害のあるなしに関わらず、親にとって我が子は宝物である。世界一かわいい、かけがえのない我が子なのである。このことに気がついた時から、“勇気づけ”の言葉など考える必要がなくなった。

来院したら開口一番。
「○○ちゃんは、いつ見てもかわいいね!」
「○○ちゃんは、いつ見てもいい顔しているね!」
これが挨拶である。
そうすると誰もが良い顔になれる。
そう!
診療で口を開ける前には、まず心を開ける必要があるのだ。
「心が開けば、口も開く。」
そんな関係の中では、医療不信など起こらないように思うのだが、いかがなものだろうか。

 

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