スマートフォン版サイト

MAIL MAGAZINE メールマガジン

厳しい歯科医院環境下で、院長がやってはいけないこと【6】「自分でコントロールできないもの」にフォーカスしてはいけない 

2013年04月12日

【1】方法論だけを知っても「勝ち組」になれない

歯科医院業界も、勝ち組と負け組が明確になってきているといわれています。

正直、私には、何が勝ち組で、何が負け組なのかがよくわかりません。
一般的には、収益を伸ばしているところが勝ち組で、そうでないところが負け組なのでしょうが、これは企業の概念です。

いくら収益を伸ばすことができても、地域に根ざした医療機関としての役割を十分に果たしていないとしたら、それは勝ち組と呼んでいいのか・・・と思ってしまうからです。

こんな私でも、うまくいっている歯科医院と、そうでない歯科医院の違いはよくわかります。
ここでいう「うまくいっている歯科医院」とは、フィロソフィーやミッションを元にビジョンを描き、それを現実にしていっている医院です。
そうした医院であるかどうかは、その医院経営者と5分も話をすれば判断できます。

うまくいっていない医院の経営者は、方法論の話ばかりをします。
たとえば「先生のところは、どんなふうにやっているんですか?」といった質問をしてくるのです。
確かに、そういった方法論を知ることも重要でしょう。
どんなに素晴らしい哲学やミッションを持っていても、それを実現する方法論を知らなければ、具現化することはできないからです。

でも、うまくいっていない医院の経営者の話は、そこで終わるのです。

うまくいっている医院経営者の質問は、少し違います。

どんな方法を実行しているのかを聞いた後、「なぜ、そういった方法をとっているのですか?」と方法論の背後にあるものを質問してきます。
つまり、実行している戦術と、その背後にある戦略を質問してくるのです。
すべての戦術は戦略に裏づけられています。
戦略という全体図を知らずに、部分的な戦術だけを知っても、同じような成果を出すことはできません。
戦術は目に見えるが、戦略は目に見えない(計画だから)ために、表面的にしか経営を見ていない人は、見落としてしまうのです。

【2】うまくいっている医院は、自分がコントロールできることにフォーカスしている

もう一点、うまくいっている歯科医院経営者と、うまくいっていない歯科医院経営者がすぐにわかる点があります。
それは、現状に関する話の内容です。

「近くに新しい歯科医院ができたから・・・」
「景気が悪くて、治療にお金を使わない・・・」
「この地域は低所得者が多いから・・・」
「歯に問題がない人が多いから・・・」
「立地が悪いから・・・」
「デンタルIQが低いから・・・」

といったような話をする経営者の歯科医院は、うまくいっていないと判断していいでしょう。

これらの話に共通する点があります。
それは「自分でコントロールできないもの」にフォーカスしているという点です。
近隣に新しい歯科医院ができるかどうか、景気、地域の所得、地域生活者のお口の状態、立地、地域のデンタルIQなどは、医院経営者がどんなに努力をしても、変えることができません。
少し、補足をするなら、立地とデンタルIQは、医院経営者の努力で変えることはできるものですが、それを言い訳にしている時点で、その意思はないと判断していいでしょう。

こういった医院経営者は、自分がコントロールできないものにフォーカスし、重要な時間を、「出口の見つからない悩み」や、「言い訳をつくること」といった、何の生産性もないものに投資しています。
そして、大切な精神とモチベーションをすり減らしているのです。
これでは、うまくいくはずがありません。

逆に、うまくいっている医院経営者は、自分がコントロールできることにフォーカスしています。
哲学やミッションを実現するために、今すぐ自分にできることを見つけ出し、実行することに全身全霊をかけています。

それは、周りから見て「逆境」と見える環境に陥ったとしても変わりません。
どんな環境の中でも、自分ができることは何かを考えています。
彼らは、心の中にある「現状は問題ではない。準備ができているかどうかが問題なのだ」という真理に従い、現状にブレされることなく、次につながる種を蒔き続けます。
ですから、一時期、ピンチに見えたとしても、また浮上するのです。

【3】経営に一足飛びはない、実行できることを確実にすすめること

インターネットを始め、書籍やセミナー、研修など、うまくやろうと思ったら、その方法を知ることが簡単にできる時代になっています。
しかし、情報が溢れた時代にこそ、「本質」を見る目を失ってはいけないのです。
そうしないと、情報に振り回されてしまうだけになります。

そして、常に自分のコントロールできることにフォーカスすることです。
それは、どんな環境の中でも必ずあります。
本当に手も足も出ない・・・などということは、現実にはありえないのです。

6回にわたり、「厳しい歯科医院環境下で、院長がやってはいけないこと」というテーマでお話をしてきましたが、最後にあたり、ぜひ、バックナンバーを読み返し、確実に実践してもらえればと考えています。

経営に、一足飛びはありません。
確実に実行した者だけが、この時代を乗り越えていくことができるのです。
あなたも、「成功と達成の美酒」に酔うことができる歯科医院経営者になっていただけることを心から祈っています。

 医療法人社団いのうえ歯科医院
 理事長 歯学博士・経営学博士
 井上 裕之
 http://www.inoue-dental.jp/