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アドラー心理学のすすめ その3:縦の関係・横の関係

2013年02月15日

人間関係には、2つある。
縦の関係と横の関係である。
縦の関係とは、立場など上下がある関係。
勝ち負けなど、他者との競争の原理もここに入る。
横の関係とは、対等な関係と言える。
協力の原理は、こちら側だ。

さて自分の周りを眺めると、夫婦や親子など家庭内での関係。
友人との関係。
上司や部下など社内での関係。
診療室においても術者と患者との関係、院長とスタッフとの関係がある。
それぞれで縦と横の関係が複雑に絡まっている。

今回、家庭内での会話を通じて、その関係性について考えてみる。
まず夫婦関係。
最近、仕事の関係で夜遅くの帰宅が続いた。
腹を立てた妻は「こんなに毎日遅く帰ってくるのなら、もう夕食は作らないから!」と言った。
こんな一言が、夫婦喧嘩のきっかけとなる。

しかしこれ、夫に早く帰ってきて欲しいための表現である。
その根底には、好きな夫と共に食事をしたいという思いがある。
でもこの言葉によって“早く帰りたい”と思うだろうか?
逆なのは明白だ。
これは、夫を従わせようとする縦の関係の言葉である。
これでは健全な夫婦関係を営めない。

そこで横の関係の言葉に置き換えてみる。
妻が「早く帰って来て! あなたと夕食を一緒にしたいの。」と言った。
この言葉を聞くと、早く帰るよう努力しようと思うだろう。
言葉の使い方によって夫婦関係は大きく変わるのだ。

もう一つ例を上げる。
子どもがテストで良い点をとったとする。

子「見て見て!頑張ったから90点取ったよ。」

あなたは何と言うだろうか?

親「すごい! さすが私の子だ!」と言ってほめる。
これは縦の関係の言葉だが、この場合はこれでも良い。

しかし、他の科目で悪い点だった場合はどうだろうか?

子「頑張ったんだけれど、50点しか取れなかった。」

今度は、何と言うだろうか?

親「頑張ったけれどこの点か! もっと勉強しないと!」と縦の関係の言葉を使うと、余計なプレッシャーを与えてしまう。
これは、テストの結果を重視した会話である。

そこで横の関係の言葉を使う。

子「頑張ったんだけれど、50点しか取れなかった。」
親「それは残念だったね。ずいぶん努力したのにね。でも次もあるじゃないか。」

これは、テストまでの過程を重視した会話である。
子どもの努力を認め、次のテストに前向きになれる会話となる。

昔からの友人を思い浮かべてみよう。
仲の良い人達とは、横の関係の言葉を使ってきたはずだ。

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