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アドラー心理学のすすめ その2:長所の前にある短所

2013年02月01日

前回、心の健康には、競争から協力の原理に脱却することが重要であると述べた。
私達は、他人の良い部分と自分の悪い部分を比べてしまいがちである。
だから自己嫌悪や劣等感が生じてしまう。これも競争の原理の一つであろう。
それでは、誰もが持つ劣等感をどう捉え、どう克服すれば良いのだろう?

ところであなたには、どんな短所があるだろう?

例えば
「私は元来、几帳面過ぎるきらいがある。一方、頑固で融通が利かない。」
という方がいたとする。

しかし短所は、考え方によっては長所にもなる。

“几帳面は、細部にまで気を配ることができる。”と言うことだ。
また、“頑固は、一途に物事を考える。”
“融通が利かないは、規則をきっちり守る。”と言い換えることができる。

同様に「私は気が小さく臆病だ。それに人付き合いも苦手だし、何をするにも時間がかかる。」という場合は、“慎重で用心深く、軽率な行動をとらない。”、また“ずけずけと他人の世界に入って行くような事もない。”、さらには“コツコツと仕事をし、着実に物事をこなす”という性格と言える。

さらに「私は、飽きっぽくて、落ち着きがない。それに優柔不断だ。」は、“好奇心が強く、一つの物事に拘らない。思ったことをすぐに行動に移し、相手の気持ちを考え、誰に対してもやさしく接する”ことだ。

また「私は、気が短く怒りっぽい、それに他人に厳しい」は、“決断が早く、常に仕事に熱意を持ち、少しでも高いレベルを求めている”となる。

このような“ものさし”で見ると、短所は長所に変貌する。

他の短所もあげてみる。
「あきらめが悪い」は、“最後まであきらめない。”
「だらしがない」は、“細かい事までこだわらない。”
「口数が多い」は、“誰とでもコミュニケーションがとれる。”
「でしゃばり」は、“人前で堂々と対応できる。”
「なれなれしい」は、“人見知りしない。”
「涙もろい」は、“感受性が強く人間性が豊か。”
「情に流されやすい」は、“人情に厚い。”

この原稿を締め切り直前に書き始める筆者は、“土壇場で底力を発揮するのが得意”なのである。

逆に、長所は裏返せば短所になりうる。
「優しい」は、“他人に甘い。”
「粘り強い」は、“しつこい。”
「面倒見がいい」は、“おせっかい。”
「肯定的」は、“何でも受け入れてしまう。”
「丁寧な対応」は、“説明がくどい。”
「協調性がある」は、“自己主張が弱い。”

このように長所と短所はコインの裏表であることがわかる。

さて、アドラー心理学では
「何が与えられているかではなく、与えられているものをどう活かすか」
と考える。

ここで私達の“心を道具の一つ”と考えてみる。
しかも、買い替えることが不可能な道具とする。

そう考えると自分の性格を、いかに使いこなすかが問題となる。

短所を意識しすぎると、肝心の長所が沈んでしまう。

短所を責めるより、それを受け入れ、長所にして自分の強みにする方と自己肯定感が増す。

“自分が好きである”ということは、“自己受容”の第1歩なのである。

 
>>岡崎先生のホームペ-ジ
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