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アドラー心理学のすすめ その1:競争と協力の原理

2013年01月18日

歯科診療を行うには、2つの重要なスキルが必要である。

第1は、臨床診断やそれに基づき処置を行う技能。

これはテクニカル・スキルである。

第2は、患者さんとの信頼関係を結ぶ技。

すなわちコミュニケーション・スキルである。

これまでの大学教育では、前者が重要視されてきた。

しかし後者は十分とは言い難い。

そこで、コミュニケーション・スキルについて考えてみることにする。

さてオーストリアの精神科医のアルフレッド・アドラーは、「アドラー心理学」を創始した。

これは“対人関係”に焦点を当てたもので、カウンセリング分野で多用されている。

非常に面白い心理学であり、我々の臨床のヒントにもなるので紹介する。

アドラーは、人々の多くの悩みが現在の競争社会にあるとしている。

例えば学力の競争。

受験戦争に生きる子ども達は、小学校時代から“試験の点数が○○に勝った!負けた!”など友達ではなくライバル関係となっている。

そしてライバルに勝っても、高校受験・大学受験と延々と競争が待っている。

さらに優秀な大学では、より強力なライバルとの競争を続けなければならない。

またトップ企業に入社しても、社内での競争、他社との競争は熾烈を極める。

競争社会の先には、競争しかない。

競争に負ければ自己嫌悪や劣等感に晒される。

勝ち残っても他人を心から信頼する喜びを味わうことはできない。

これでは、心の健康は生涯あり得ない。

もちろん勉強をしなければならない時期もある。

しかし、競争の原理を追い求める人生の先には、豊かさが見えてこないのだ。

そこでアドラーは、対人関係において“協力の原理”を唱える。

歯科医院の中では、もはや競争の原理は必要としない。

みんなが協力することによって、よりよい環境を作り、理想的な歯科医療を目指していく。これが“協力の原理”である。

それでは、誰もが持つ劣等感をどう捉え、どう克服すれば良いのだろう?

キーワードは“自己受容”。
すなわち“自分が好きである”ということだ。

次回から、この秘密を探ることにする。

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