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教養教育 その1/大学授業改善論

2012年10月12日

岡山大学の教養教育にはユニークな科目がある。 「知ってるつもり?コンビニ編」
「大学授業改善論」
「しらなきゃやばい、大人のマナー」
「ドラえもんの科学」 などである。

これらのユニークなタイトルは、いずれも学生が作り出したものである。
これまでの教育は、 “学生は教えてもらうもの” という受け身の授業であった。
しかし岡山大学では、従来の形式を打ち破り学生が主体となり創りだしたものを、正式な授業とする“学生発案型授業”がある。

このなかで「大学授業改善論」は、最もユニークかつ驚くべき内容である。
授業で学生が数人のグループをつくり、これまでの履修科目から一つを選ぶ。
その授業の感想、良かった点、こうすればより良い授業になるという点についてグループでディスカッションをし、授業改善の意見書をまとめる。その意見書を授業で発表しあう。
大半の受講生が賛同すれば、担当教員の約束を取り提案する。
その結果を授業で報告するというものである。
もちろん教員を誹謗中傷するものではない。
より良い授業を行うためだ。 実際、教員の大半は、自分の思いや考えを学生に伝えることができ好印象を持つそうである。
このような授業を通じて、学生同士が活発に議論を交わす中で、強制的な勉強ではなく、主体的に学ぶことを知った学生こそが、社会から期待される人材となりえるのだろう。
私が受けてきた頃と比べ、教養教育のあり方も大きく変わったものだ。

実は私も、数年前から学生発案授業の一つを担当している。
大学祭の“新授業創作コンテスト”で選ばれたものだ。 授業の題名は、 「みんなで極める発信力 ~伝える力をモノにできるか~」 である。(注1)

当初の学生の計画では、
“授業に有識者を呼び文章の書き方を学び、自分の意見を新聞投稿する。その過程で点数が加点される。”
というものである。

もちろん新聞社にも根まわしが必要だ。
しかし、すべての希望を受け入れるだけでは面白くない。
そこで、有名テレビ番組のデスクをはじめ、ユニークな情報発信をしている人々を特別講師として招いている。
さらに・・・である。
自身の経験を振り返り、このような授業があればと思うことを逆算し、授業に組み込んでいる。

例えばだ。

社会に出てからの財産の一つに、さまざまな分野の友人を持つことがあげられる。
そうすれば、気軽にさまざまな情報を手に入れることができる。
幸い岡山大学は、11の学部を持つ総合大学である。
だとすれば授業の中に、11学部の友人ができる仕掛けを作ればよい。
それを、どのように自然に授業に組み込むか?こんなことを考え始めると妙に楽しい。
これこそ専門にはない、教養教育の醍醐味である。
10月から後期の授業が始まる。
いよいよ本番だ。
半年間の展開を考えると眠れない日々が続く。

 注1:昨年度までのタイトル「君は頭が良くなりたいか!? 発信力」 受けたい授業 学生が作る
 ⇒ http://d.hatena.ne.jp/high190/20070706/p1  大学授業改善論:
 ⇒ http://www.facebook.com/video/video.php?v=123066411109082

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