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血液型考 その3/血液型の分布と風土病

2012年08月24日

これまで血液型と性格や病気について触れてきた。
でも、どうしてO型は病気に強く外交的なのだろう? また、一方でA型は、病気に弱く内向的なのだろうか?
まだこの結論には至っていない。

ここでたいへん興味深い説があるので紹介する。
それは、血液型が風土病と関係するというものである。
例えば、アメリカ大陸の風土病はご存じだろう。
そう! 1492年、コロンブスがアメリカ大陸を発見した後、ヨーロッパに持ち帰ったことがきっかけで世界中に蔓延した“梅毒”である。
わが国での最初の発見は1512年であるから、大陸発見後わずか20年で地球を一回りしたことになる。
ちなみにこの病、それまで日本の人骨には病変がなかったが、アメリカの先住民族にはあったことからアメリカ大陸起源説が有力となっている。

さてアメリカ大陸の先住民族は91%がO型であると述べた。
またO型は、梅毒に罹りにくい血液型であるとも述べた。
これを組み合わせると、

(1)風土病に罹りにくいようにO型ができた
(2)長い年月の間に、他の血液型の人は淘汰されO型が生き残った

の2つの理由が考えられる。

一方、O型が罹りやすい病気としてコレラがあるとも述べた。
コレラが風土病である地域は、インドのガンジス川の下流である。
この流域にあるバングラデシュでは、O型の割合は30%と世界的に少ない地域だが、ある疫学調査ではコレラ患者の60%はO型であったという。
コレラによりO型が淘汰された可能性がある。
これら風土病により、世界の血液型の分布が変化したのかもしれない。

さて、それでは血液型と性格との関係である。

O型は梅毒に罹りにくい。
同時にO型の遺伝子は、たくさんの子孫を残したいと考える。
そのためには積極的で明るい方が、多くの異性と交わる可能性が高くなる。
これがO型特有の外交的な性格を作り出す。
逆にA型は病気に弱く、感染を避ける行動パタ-ンが必要だ。
そのためには、用心して外出を控える。
これが内向的な性格を作っているという説がある。

なるほど・・・。

これまで血液型と性格について懐疑的であったが、遺伝子の立場から考えると、うなずける部分もありそうだ。

ところで、この話、臨床にどう結び付くのか、疑問視されている先生もおられるだろう。

しかし、筆者の中では充分結びついている。
例えば、患者さんに対し何か説明をしたとしよう。
それを受け入れる患者さんがいる一方、受け入れない患者さんもいる。
「せっかく説明したのに・・・」と相手を悪く考えると、負のエネルギ-を使ってしまう。
ならば、それを相手のせいにするより、患者さんには4つのタイプがあると思えば気が楽である。
さまざまなタイプがあるからこそ、それに応じた対応策を練っておくことが必要なのだ。

参考:
1:パラサイト式血液診断  藤田紘一郎 新潮選書
2:血液型の科学 藤田紘一郎 祥伝社
3:小さな悪魔の背中の窪み 竹内久美子 新潮社

>>岡崎先生のホームペ-ジ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/