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日本の三大死因

2012年07月02日

『日本の三大死因』といえば長い間、

 第1位 悪性新生物
 第2位 心疾患
 第3位 脳血管疾患

となっていた。

ところが本年6月5日に発表された、平成23年度人口動態調査の死因の順位を見ると、

 第1位 悪性新生物で28.5%
 第2位 心疾患 15.5%
 第3位 肺炎
 第4位 脳血管疾患9.9%

となり、肺炎が脳血管疾患の死亡者数をわずかに上回り『日本の三大死因』に入ってきた。(注1)

脳血管疾患は、昭和26年以来第1位であったが、昭和56年には悪性新生物に代わり第2位、さらに昭和60年には心疾患に代わり第3位、その後も死亡者数は減少してきた。

一方、肺炎は昭和50年に不慮の事故に代わり第4位となり、以降も上昇し続けてきた。
年代別に肺炎を見ると、1~4歳では第4位であり、幼児期では大きな死因の一つである。
そして免疫力の高い若年・中年期には減少するが、70~79歳で再び第4位となり以降、80歳~89歳で第3位、90~94歳で第2位、95歳以上では第3位となる。
なかでも男性では90~99歳の死因は第1位となっている。

さて肺炎の60~80%は誤嚥性肺炎であり、口腔ケアを行うことで高齢者の肺炎の発症率が40%低下したと言われている。

この報告をきっかけとして、口腔ケアの重要性が見直されている。

たった10数年前まで医療現場では、排泄ケアより口腔ケアの方が嫌われていたという事実と知る者にとっては万感の思いがある。

ここで肺炎の医療費について調べてみた。

肺炎による入院日数は平均19.4日、医療費は平均530,470円である。
しかし肺炎の程度にもより異なると思い、重度のケースを調べると859,646円もの費用がかかっていた。(注2,3)
この数字と、昨年度の肺炎死亡者数を掛けたところ、4,560億円もの医療費が支出されたという計算となる。(注4)

もし口腔ケアによって発症数が40%低下すれば、1,820億円の医療費削減につながる。

死亡者の医療費だけでこの数字だから、実際にはこの何倍も削減されるに違いない。

肺炎が第3位になったことで、病院や高齢者施設では口腔ケアに対するニーズがますます高まることが予想される。

しかしである・・・・・。

我々の本当の目的は、第3位になった肺炎を、再び第4位いやそれ以下に落とすことである。

そのためにも、今回の発表をきっかけとして口腔ケアが“当たり前の時代”にしたいものだ。

注1:平成23年度人工動態調査
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai11/index.html

注2:日本病院協会 主な病気と医療費
 ⇒ http://www.ajha.or.jp/topics/guide/1.html

注3:別の調査では肺炎の入院日数55日,医療費170万円(出典不詳)注4:肺炎による死亡者124,652名 平成23年度注5:平成20年度総歯科医療費 2兆6000億円

>>岡崎先生のホームペ-ジ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/