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インフルエンザ考【その1】

2018年03月05日

今年の冬はインフルエンザが猛威を振るった。

21世紀に入って最大の感染者数だと言う。

諸兄の多くも罹患し、悩まされたに違いない。

さてインフルエンザウイルスは、鼻や喉の粘膜から侵入し増殖する。

そして喉の痛み、咳、鼻水に加え、急激に進行し高熱や全身の倦怠感をもたらす。

その感染経路は、

1:感染した人の咳やくしゃみを吸い込む”飛沫感染”。
2:ウイルスが付着したドアノブやスイッチなどに触れた手で、口や鼻を触るなどの”接触感染”がある。

(図1)

ところで、”かぜ”と”インフルエンザ”はどう違うのだろう?

ここで簡単に述べておこう。

一般的に”かぜ”と言えば急性の上気道の感染症を指す。

またインフルエンザは、かぜ症候群の一つである。

しかしインフルエンザは、重症化しやすいため分けて考える必要があるのだ。

“かぜ”は、クシャミ、鼻水、鼻づまりや喉の痛みなど上気道症状が現れ、発熱も38℃以下が多い。

また発症時期は、冬季に限らずプール熱など年間を通じて散発的に起こる。

一方、インフルエンザは上気道の症状に加え、急激な38℃以上の発熱に加え全身症状を呈する。

(図2)

実際、筆者もインフルエンザ脳症により障害児となった者を数名診てきた。

ちなみにインフルエンザは、冬季を中心として周期的に流行する。

そこでヨーロッパの占星術者は、星や寒気の影響によるものと考えた。

このインフルーエンス(influence)が語源とされている。

さて教育機関では、インフルエンザによる出席停止の期間が定められている。

学校保健安全衛生法では発熱後5日を経過し、かつ解熱後2日間となっていた。 (注1)

それだけ感染力が強いと同時に、
熱が下がってもウイルスが7日程度身体にとどまるためだ。

筆者が嘱託医をしている障害者施設でも同じ対策がとられている。

確かにこれは、教育現場や大きい事業所では可能だろう。

しかし個人診療室ではどうだろう?

誰かが感染すると、他のスタッフや患者にも広がるかもしれぬ。

それでは診療が廻らない。

インフルエンザの予防法は、
日常的な手洗い、うがい、それにマスク着用の実践である。

(図3)

また予防注射もあるだろう。

しかし我々は、口腔を対象とするため感染に対してハイリスクの職種でもある。

本年に限れば、間もなく収束のシーズンを迎える。

しかし来年に備え、もっと考えておくべき対策があるのではないか…

続く

(注1:幼児では3日間)

前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
http://leo.or.jp/Dr.okazaki/