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【3】あたりまえ 3 :クリニックは舞台、スタッフは演者

2017年08月07日

こんにちは!

墨田区で開業しております、杉平(すぎひら)と申します。

このメルマガでは、サービス業としての歯科クリニック運営について、
当院で取り組んでいることをご紹介させていただきます。

近年幾度となく、
「タービン使い回し」「患者ごとにグローブ取り替えない」
といった問題がテレビなどで取りざたされているのは皆さまご存じだと思います。

経営者の頭を悩ませる標準予防策(Standard Precaution)ですが、
今回はそのことではなく、患者さんは意外なところを見ているという話をさせていただきたいと思います。

テレビの影響だけでなく、患者さんたちはクリニックに
「清潔感」を求める傾向が強くなっています。

医療施設ですから、当然といえば当然ですね。

当院に初診で来た患者さんのうち、
毎月10~15人は「清潔そうだから」という来院動機があります。

タービンやグローブなどは直接口腔内に入るものですから、
清潔にしておかなければならないのは誰にでもわかることですが、
口腔内に入れる器具にだけ気を付けていれば「清潔感」のあるクリニックといえるのでしょうか。

これは、実際に転院してきた患者さんから聞いた話です。

「前の歯医者は、先生はとてもよく話を聞いてくれ、説明もていねいでわかりやすく、スタッフさんも優しくていねいでした。ただ、診察台周りがとても不潔だったんです。器具のアーム部分に埃がかかっていたり、ライトや手鏡や診察台に白い飛沫が飛び散ったままで、レントゲンの顎を置く部分なども汚れが目立ってゾッとしました。受付やトイレはきれいでしたが……」

この「白い飛沫」は、診療のたびに付く汚れです。

毎回チェックされているでしょうか?

また、チェアに座ってみればわかりますが、
ライトやアームに付いている埃はとても目立ちます。

診療室は1日で結構汚れます。

毎日掃除はされていると思いますが、どのタイミングで掃除していますか?

当院では、少しでも手が空いたら汚れを探して掃除してもらっています。

朝きれいだった場所でも、診療のたびに少しずつ汚れていきます。

当院は、床も壁も白いので、夕方には結構汚れが目立ってきます。

つまり、朝イチや帰る前にだけ掃除をしていた場合、
夕方以降にしか来ない患者さんから見たら、いつ来ても汚い診療室となります。

古くてもきれいなクリニックと、新しくても汚いクリニック。

どちらに行きたいかは言わずもがな、ですね。

次に、これもよく話題には出てきますが、
どういうことに気を付ければいいのかイマイチわからないと言われることもある「身だしなみ」についてです。

「金髪はダメ!」「派手な化粧はダメ!」
などはありきたりなワードですが、
「じゃあ、どこまでならいいの?」と聞いてくる人もいます。

私は、その質問が出てくること自体、
身だしなみについて理解できていないと考えます。

「身だしなみ」とほぼ対極にあるのが「オシャレ」です。

では、違いは何なのでしょうか。

私はいつも簡単に説明しています。

・身だしなみ:患者さんに良い印象をもってもらえる見た目
・オシャレ:自分の個性を出すための見た目

つまり、
「身だしなみは患者さんのため、オシャレは自分のため」
の見た目ということになります。

個性は大切だと思います。

ただ、診療にオシャレが必要だとはとくに思いません。

先ほどの「どこまでならいいの?」という質問には、こう答えます。

「患者さんに良い印象をもってもらえるなら、どこまででも!」

金髪で良い印象をもってもらえるなら、それでもいいと思います。

紫色のカラーコンタクトに良い印象を持ってもらえるなら、やってもらっていいと思います。

自分で理解できないと、身だしなみに気を付けることはできません。

人間は、残念ながら見た目で9割方判断してしまいます。

「見た目で判断するな!」は、ファーストコンタクトでは無理です。

変な格好の受付スタッフがいるだけで、
「やばい歯医者に来ちゃった」と思われてしまいます。

いろんなセミナーや書籍などで身だしなみの具体的な話はされているので、
後はそのなかから皆さんそれぞれが考える「患者さんのための身だしなみ」をチョイスすればいいと思います。

自分のためのオシャレは、
休日もしくは仕事が終わってから思う存分やればいいんです。

患者さんを不快にさせてまでやることではありません。

クリニックで働くスタッフも、
ユニット周りや受付、
トイレもクリニックの一部として見られています。

われわれスタッフは、クリニックという舞台で診療という演技をする演者です。

見た目の印象が悪いと、内容が良くても評価してもらえません。

性格や人柄を変えるのは大変ですが、見た目を変えるのは簡単です。

簡単なことで患者さんの印象が良くなるなら、やらない手はありません。

なぜ見た目が重要なのかを全員で理解し、共有することで、
クリニックの雰囲気が断然良くなるはずですので、ぜひとも実践していただければと思います。

カルミアデンタルクリニック院長
杉平 亮介
http://kalmia-dc.com/