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【5】創面保護から、抜糸、そして初期清掃までのコツ

2017年06月05日

皆さん、こんにちは。

東京都葛飾区で開業しています、鈴木真名です。

前回は、「フラップの形成とデブライドメントのコツ」について解説しました。

今回は、歯周外科後の創面保護から、抜糸、そして初期清掃までのコツを解説したいと思います。

●創面保護はどうする?

まず、歯周外科後の創面をどう保護するかですが、その1つに歯周パックがあります。

手術後の部位は非常に繊細ですので、きちんと保護することが大切なのはいうまでもありません。

ただ、歯周パックを嫌がられる患者さんもいらっしゃるので、使用するか否かはケースバイケースとなります。

筆者が歯周パックを有効だと思う点は2つあります。

まず1つめのポイントは、
歯周パックを行うことで腫脹を抑える効果が期待できます。

しかし患者さんによっては歯周パック付近にプラークがたまるのをとても嫌がるため、それを防ぐために、
筆者は抗生剤の軟膏を切開線に沿ってパック周囲に塗っています。

これにはエビデンスはありませんが、臨床的に効果が高いと感じています。

なお、軟膏を塗る部位は、
プラークがとくにたまりやすい縫合糸の”結び目”のところです。

2つめのポイントは、歯周パックをすることで、
患者さんに「ここは手術をした部位なんだ」という意識をきちんともってもらうことにあります。

たとえば、体のどこかを手術したらガーゼや包帯を巻いて保護するのがふつうだと思いますが、
歯周外科でもそれは同じだからです。

ちなみに、歯周パックをする期間ですが、約1週間で除去するとよいでしょう。

●抜糸は時期が重要

つづいて、抜糸の話に移ります。

抜糸は、時期がとても重要になりますが、
筆者の場合、縫合した目的により抜糸時期を変えています。

創部閉鎖のために行うclosing sutureの場合は、
術後約1週間が目安となります。

一方、フラップの移動をともなう、フラップを位置づけるためのstayning sutureの場合は、10日から2週間が目安となります。

上記の時期は、あくまで筆者の臨床的主観であり、エビデンスはありませんが、
安全面の観点から、それくらいが適当な時期だと考えています。

さて、つぎが大切なポイントですが、
モノフィラメントの縫合糸なら問題ありませんが、
プラークがつきやすい絹糸など繊維を織り込んだ縫合糸の抜糸時は注意が必要です。

というのも、結び目など外に出ている糸はいわば細菌汚染しているため、
その部分が組織(歯肉)内を通らないように抜糸することが重要となります。

具体的には、まず結び目の部分の糸を軽く引っ張ります。

そうすることで、組織内に入っていた汚染されていない部分の糸が外に出てきます。

そこを切って、あとは糸を引き抜けば、
汚染した部分が組織内を通ることなく、抜糸可能となります。

これはぜひ知っておいていただきたいコツです。

●抜糸後のブラッシング

つぎに、抜糸後の初期清掃についてですが、
抜糸後約2週間は軟らかい歯ブラシを使用してもらいます。

手術部位が広範囲に及んだ場合などでブラッシングが困難なときは、
洗口剤を約2週間用いてもよいでしょう。

その後、1か月間くらいは軟らかい歯ブラシを使います。

その際は、軟組織の治癒が進んでいない幼若な組織にダメージを与えないことが大切です。

1か月ほど経過した後は、ふつうの硬さの歯ブラシを使用してもらいます。

患者さんへのブラッシング指導は、
歯科衛生士によるところが大きいと思いますが、手術した部位は
とても繊細であることを患者さんに認識してもらうことが大切です。

●まとめ

今回は、歯周外科後の創面保護や、抜糸時のポイント、時期などについて解説しました。

次回は最終回となりますが、歯周外科後3~6か月の再評価後の最終補綴からメインテナンスまでをみていきたいと思います。

鈴木歯科医院
鈴木 真名
http://www.suzuki-masana.com/